畑仕事は「片付け」の上級編。相方作の種まきカレンダーをご紹介

今年に入って、部屋や倉庫、本棚やメールボックス、あちこちの片付けを始め、気づいたのは、畑は片付けの上級編だということ。

部屋の中だと、一度片付けると、何もしなければそのままの状態が保たれる(モノが勝手に動き出したり誰かが引っかき回したりしない限り)。しばらくするとほこりが溜まったりするので、掃除は必要になるが。

ところが、畑の場合、一度草を刈って種を播いたりして、そのときは「これでよし」という状態にしても、夏場なら数日後には種をまいた辺りにもいろんな草が生えてきて、再び手入れする必要がある。部屋の中なら、一度片付ければたいてい1週間くらいはきれいな状態が保たれるが、夏場の畑はいそがしくて1週間も行けない日が続くと、あちこち草ぼうぼうで途方に暮れることになる。

東京にいた頃は、8平方メートルの小さな畑を借りていたので、手に余すことがなかったが、香川に移住してからは、田畑含めて一気に1反くらいに拡大した。片付けの習慣がついていなかったぼくが持て余すのは当然だと思った。

今年は、片付けの習慣が身につき始めたためか、畑仕事が順調に進んでいる。倉庫を片付けて道具の定位置を決めたので、道具を探してもたもたすることがなくなった。余計なところにエネルギーを使わなくてよくなったためか、なんとなくその日に思いついたところに手を付けるのではなく、ある程度先までプランを考え、優先順を付けて作業できるようになった。ちゃんとしている人はそういうふうに計画的に畑仕事をしているのだろうけれど、片付けができていなかったぼくは行き当たりばったりで常に作業が遅れていた。

かなりの売上を出している「やり手」の有機農家さんのもとで訓練を受けてきた友人が、うちに遊びに来てくれたとき、家の片付けができていなくてあちこちにモノが散らかっているのに戸の張り紙を可愛い模様に張り替えているのを見て、「優先順位考えやな!」とつっこまれた。ぼくはつっこまれるのはどちらかというと好きなほうで、好意のこもったつっこみだったので嫌な気はせず、「それもそうやなぁ」と思ったが、「まぁ、自分らはぼちぼちマイペースで行けばいかなぁ」とも思い、優先順位を本気で考え始めるきっかけにはならなかった。ところが、片付けの習慣がついてきた今思うと、戸の模様替えから始めるのはむちゃくちゃな選択だということがよくわかる。「まずは部屋に散らかったものを片付けようよ!」と過去の自分のつっこみたくなる。畑仕事では、優先順位を付けたり、片付けを徹底したりすることが、効率よく作業する上でとても大事なのだと思う。それを叩き込まれてきた友人にとって、うちの暮らしの風景は驚きがいっぱいだったかもしれない。

今年になって、オリジナルの種まきカレンダーを相方がつくってくれた。


種類ごとの野菜の種まきの時期、発芽・生育適温、種まきの適期の目安(桜満開、アブラゼミ初鳴き、ススキ開花など)などがひと目でわかるようになっていて、今住んでいるエリアの各月の上旬・中旬・下旬の過去の平均・最低・最高気温も書かれている。買ってきた種の袋を見ると、まき時は何月から何月、というように書かれているが、エリアごとに大雑把にしかわからないし、ハウスでまく場合もひとまとめにして書かれていて露地で直まきする場合の適期がわからないことが多く、こうやってまとめてくれていると、とても便利。そのほかに、相性のいい・わるい後作や、交雑に関する情報(自家受精か他家受精かその中間か)、生えている草とそこの土のpHの目安、など、種まきの際に役立つ情報もまとめられていて、種をまく段になっていろんな本を持ち出してガサゴソする必要がない。

ひと月ごとに折って蛇腹になっていて、3月から翌年の2月まであるので、全部広げるとけっこう大きい。一覧になっているので、時々広げて見ることで蒔き忘れが減るし、先々の作業を見通しやすく、頭の中が整理される。

「生産性」や「効率」ばかり意識するのはあまり好きではないが、何事も「片付け」や「整理・整頓」をしておけば、それらは自然と高まってくるようだ。


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by 硲 允(about me)
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