平塚らいてうさんのゴマじるこを作る。1949年の暮しの手帖に掲載されたレシピ

昨日、手づくりごま豆腐の話を書きましたが、今日は平塚らいてうさんの「ゴマじるこ」について。

「ゴマじるこ」なる料理が存在することすら知らなかったのですが、「暮しの手帖」(4世紀86号 2017年春)に載っていて、それを見ながら相方がつくってくれました。

平塚らいてうさんは、25歳の頃に雑誌『青鞜』を立ち上げ、女性の復権、反戦、反核、平和などを訴え続けました。30代の中頃、多忙な活動で体調を崩しがちになり、そこから後の食養へとつながったそうです。平塚らいてうさんが食養を実践されていたとは、知らなかった。「暮しの手帖」がその頃から存在し(当時は「美しい暮しの手帖」という名前だった)、平塚らいてうさんが食養についての随筆を寄せていたというのもびっくりでした(掲載されたのは1949年発行の1世紀4号)。4世紀86号には、平塚らいてうさんの当時の随筆がそのまま掲載されていて、とても興味深く読みました。主には「ゴマじるこ」の作り方を説明している文章ですが、なんとも味のある文章です。


さて、「ゴマじるこ」の作り方ですが、まず、黒ごまを炒ってから、摺り鉢で摺ります。


摺るといっても、ごま塩をつくるときくらいの摺り方ではダメで、よーく摺って、ゴマから油が出てきてすりこぎを回すのがかたくなり、オニキス(真っ黒の天然石)のような光沢が出るくらいまで摺るそうです。


ゴマを摺り続けるとこんな光沢が出るとは驚きです。

それから、ぬるま湯を少しずつ加えて、お汁粉くらいの濃さかそれよりもいくらか濃い目に、摺りながら延ばしていくそうです。


こんな感じでしょうか。鍋に移し、煮立て、砂糖(黒砂糖ならばなおよし、とのこと)と塩少々で味付けするそうですが、ぼくは砂糖が食べられないので代わりの甘味料(米飴だったかな?)で。

「おろし際にクズをうすめにひいても好いかと思ひます」とのことで、最後に、水で溶いた葛粉を入れてとろみをつけました。水を加えた後は灰色でしたが、火にかけると不思議と色が濃くなります。

中に入れるお餅は、焼いたものではダメで、ゆでて柔らかくなったもの(手づきのよくついた搗きたてが望ましいとのこと)を。

平塚らいてうさんのゴマじるこ

ゴマ汁の上にお餅を落としたほうがきれいに仕上がるかもしれませんが、先にお餅を入れたので隠れてしまいましたが、これで完成!

ゴマをこんなに一気に食べることは普段なく、しかもオニキスのツヤが出るまで摺ったゴマ…なんとも贅沢。一口食べると、ガツンとした何かが効いたような感じ。夜更かしが続いてちょっと風邪の気配を感じていたのも吹っ飛びました。つくるのに根気の要る料理ですが、これはすごい。体力や気力が弱っているときに食べると効きそうです。


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by 硲 允(about me)
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