コープ自然派の宅配で野菜などと一緒に届くニュースレター「カルテット」(Vol.422)に、「香害」による子どもたちの被害の実態が書かれているのを読んで驚いた。
「香害」という言葉は、去年あたりからよく見聞きするようになった。文字通り、香りによる害。体臭は以前から嫌われてきたが、普通、「香害」と言うときのにおいは、その体臭を覆い隠すための香りや、暮しで使われる表面的には「いい匂い」とされる化学物質による香りのこと。つまり、洗濯洗剤や柔軟剤に使われる香料や香水など(タバコの香りなど、普通はいい匂いとされないものも含まれるが)で、現代社会で人のいる場所にいくと、こういう香りから逃れることは難しい。
こうした香りに対して何も目に見える症状が出ないのであれば気にせずに暮らせるが、化学物質過敏症などを発症すると、こうした香りにさらされるとめまいや吐き気がしたり思考力が低下したり、重篤な症状が出ることもあるらしい。
ニュースレターの体験談を読むと、まさに生き地獄のような状況だ…。学校の月曜の朝の集会では頭がくらくらしてハンカチで鼻を塞がずにはいられない(週末に学生服を洗うことが多いため)、他の生徒が使っている柔軟剤や合成洗剤の香りが苦手でクラスに入れず別室で一人で学習しているとか、いつもふらふらになって学校から帰宅し夜は悪い夢でうなされるとか、定期テストを他の学生とは別室でガスマスクをつけて受けているとか、ハンドクリームが臭いと友だちに伝えたらわざとランドセルに塗られたとか、先生に香料がきついと伝えたらいじめをうけたり、といった体験談が寄せられている。
症状が出ない人にとっては何ともないのに自分だけ苦しまなければならず周りからなかなか理解も得られない、という状況はとても苦しいものだ。学校によっては、教室の床のワックスに米汁でつくった特別なワックスを使ってくれたり、過敏症対策の特別教室を設置してくれたり、もともと合成洗剤や化粧品などを使わない担任の先生のクラスに入れてもらえたり、といった心あたたまる対応例も紹介されているが、いつもどこでもこうした親切な対応をしてもらえるとは限らず、本当に気の毒な話である。
ぼくは吐き気やめまいなどの症状は出ないけれど、化学物質の香りには敏感な方で、学生の頃から、デパートの化粧品売り場は息を止めて早足で通り過ぎていた。スーパーの洗剤コーナーやホームセンターの殺虫剤や除草剤コーナーでもいつも息を止めてなるべく近寄らないようにしている。一般的なドラッグストアや美容室で働くのは無理だなぁと思う。
香害の被害は、症状が出る人だけではなく、その香りを吸っている人全員が受けているはずだ。同じく「カルテット」のVol.420で東京農工大学教授の高田秀重氏が書かれていたのを読んで知ったが、柔軟剤などに加える香料を閉じ込めるのに、肉眼では見えないほど小さな「マイクロカプセル」という合成樹脂(プラスチック)が使われ、これが時間をかけて少しずつ壊れることで、付着する布が長時間香る仕組みになっているらしい。香りの成分自体、人体に無害だとは思えないし、それと一緒に細かなプラスチックも体内に取り込んでしまうことになるのだろう。プラスチック自体は、人体に排出する能力があると言われているが、いろんな化学物質が一緒になったプラスチックを日々摂取することでどんな影響が生じるか分からない。過敏症を発症した方たちの症状は、まさに人体の悲鳴だろう。
うちでは数年前から、「香害」となるような暮しの化学物質を一つひとつ排除していき、洗剤や化粧水などの日用品には天然の成分だけを使用したものを使うようになった。学生の頃は香水をつけていたような頃もあったけど、今なら過敏症の人でもぼくに近づいて大丈夫だろうか・・と考えてみて、でも、今日はチェンソーを使ったから無理だろうなぁと思った。「香害」の元を暮らしから完全に排除するのは難しいけれど、できる範囲でなるべく排除していったほうが、自分も気持ちよく、健康になれるだろうし、深刻に悩んでいる方たちが少しでもラクになれば、みんながハッピーになれる。店に行って安売りの日用品をテキトーに手に取るとたいてい「香害」を引き起こすことになってしまうのが悲しいが、最近では大型店でも探せば「無香害」の商品も見つけやすくなってきた。
香りに限らず、食のアレルギーや、考え方の違いなど、人と人との間にはいろんな目に見えにくいバリアが生じ、少数派に属する人たちは他人と居心地よく一緒に過ごすのが難しくなってしまうことが多い。人間はそれぞれ違っているのだから、相手が困ることやイヤがることはなるべくせず、自分と同じようにすることを相手に押し付けず、誰と一緒にいてもお互いに心配なく問題なく楽しく過ごせるような世の中に少しずつシフトしていけないものかなぁと思う。
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by 硲 允(about me)
twitter (@HazamaMakoto)
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こうした香りに対して何も目に見える症状が出ないのであれば気にせずに暮らせるが、化学物質過敏症などを発症すると、こうした香りにさらされるとめまいや吐き気がしたり思考力が低下したり、重篤な症状が出ることもあるらしい。
ニュースレターの体験談を読むと、まさに生き地獄のような状況だ…。学校の月曜の朝の集会では頭がくらくらしてハンカチで鼻を塞がずにはいられない(週末に学生服を洗うことが多いため)、他の生徒が使っている柔軟剤や合成洗剤の香りが苦手でクラスに入れず別室で一人で学習しているとか、いつもふらふらになって学校から帰宅し夜は悪い夢でうなされるとか、定期テストを他の学生とは別室でガスマスクをつけて受けているとか、ハンドクリームが臭いと友だちに伝えたらわざとランドセルに塗られたとか、先生に香料がきついと伝えたらいじめをうけたり、といった体験談が寄せられている。
症状が出ない人にとっては何ともないのに自分だけ苦しまなければならず周りからなかなか理解も得られない、という状況はとても苦しいものだ。学校によっては、教室の床のワックスに米汁でつくった特別なワックスを使ってくれたり、過敏症対策の特別教室を設置してくれたり、もともと合成洗剤や化粧品などを使わない担任の先生のクラスに入れてもらえたり、といった心あたたまる対応例も紹介されているが、いつもどこでもこうした親切な対応をしてもらえるとは限らず、本当に気の毒な話である。
ぼくは吐き気やめまいなどの症状は出ないけれど、化学物質の香りには敏感な方で、学生の頃から、デパートの化粧品売り場は息を止めて早足で通り過ぎていた。スーパーの洗剤コーナーやホームセンターの殺虫剤や除草剤コーナーでもいつも息を止めてなるべく近寄らないようにしている。一般的なドラッグストアや美容室で働くのは無理だなぁと思う。
香害の被害は、症状が出る人だけではなく、その香りを吸っている人全員が受けているはずだ。同じく「カルテット」のVol.420で東京農工大学教授の高田秀重氏が書かれていたのを読んで知ったが、柔軟剤などに加える香料を閉じ込めるのに、肉眼では見えないほど小さな「マイクロカプセル」という合成樹脂(プラスチック)が使われ、これが時間をかけて少しずつ壊れることで、付着する布が長時間香る仕組みになっているらしい。香りの成分自体、人体に無害だとは思えないし、それと一緒に細かなプラスチックも体内に取り込んでしまうことになるのだろう。プラスチック自体は、人体に排出する能力があると言われているが、いろんな化学物質が一緒になったプラスチックを日々摂取することでどんな影響が生じるか分からない。過敏症を発症した方たちの症状は、まさに人体の悲鳴だろう。
うちでは数年前から、「香害」となるような暮しの化学物質を一つひとつ排除していき、洗剤や化粧水などの日用品には天然の成分だけを使用したものを使うようになった。学生の頃は香水をつけていたような頃もあったけど、今なら過敏症の人でもぼくに近づいて大丈夫だろうか・・と考えてみて、でも、今日はチェンソーを使ったから無理だろうなぁと思った。「香害」の元を暮らしから完全に排除するのは難しいけれど、できる範囲でなるべく排除していったほうが、自分も気持ちよく、健康になれるだろうし、深刻に悩んでいる方たちが少しでもラクになれば、みんながハッピーになれる。店に行って安売りの日用品をテキトーに手に取るとたいてい「香害」を引き起こすことになってしまうのが悲しいが、最近では大型店でも探せば「無香害」の商品も見つけやすくなってきた。
香りに限らず、食のアレルギーや、考え方の違いなど、人と人との間にはいろんな目に見えにくいバリアが生じ、少数派に属する人たちは他人と居心地よく一緒に過ごすのが難しくなってしまうことが多い。人間はそれぞれ違っているのだから、相手が困ることやイヤがることはなるべくせず、自分と同じようにすることを相手に押し付けず、誰と一緒にいてもお互いに心配なく問題なく楽しく過ごせるような世の中に少しずつシフトしていけないものかなぁと思う。
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