バイオプラスチックの問題点やチェックポイントなど。「プラスチック・フリー生活」を読んで

「バイオプラスチック」と書かれた商品を時々見かけるようになりました。土に還ると書かれていても、色のついたこんな物体を土に入れて有毒なものが流れ出さないのだろうか…と心配になることがあります。

完全に自然由来の素材からできていて、有毒な添加物を用いず、土に還しても土壌や水や大気を汚さないようなバイオプラスチックであれば望ましいと思いますが、化石燃料由来のプラスチックに一部、自然素材を混ぜたもので、安全に分解しないのであれば、本来、自然に還るはずの自然素材を自然に還らないゴミに変化させることになるので、それは「エコ」ではないだろう、という気がします。

最近読んだ、「プラスチック・フリー生活 ~今すぐできる小さな革命~」(シャンタル・プラモンドン、ジェイ・シンハ 著、服部雄一郎 訳)という本にも、バイオプラスチックのことが書かれていました。



やっぱり、いろんな問題が潜んでいるようです。

まず、現在のところ、バイオプラスチックの素材の多くを、生物多様性を損なう単作栽培のとうもろこし(しかも一部は遺伝子組み換え)に頼っている、という問題があるようです。

それにやはり、「バイオプラスチックの中には、100%天然のバイオマスから作られていないものがたくさんある」という問題が指摘されています。バイオプラスチックと呼ぶためには、一般的に20%以上の原料がバイオ由来であることが求められるそうですが、それだけでいいん!? 20%だと、バイオプラスチックというより、バイオ素材入り普通のプラスチック、という感じです。

さらに「疑わしい」バイオプラスチックもあるそうで、「酸化型生分解性プラスチック」というのは、単に、普通の化石燃料系プラスチックに、遷移金属と呼ばれるもの(コバルト、マンガン、鉄など)を混ぜ合わせたもので、紫外線や熱を加えるとプラスチックが粉々に微細化する、という代物だそうです。なんじゃそりゃ。バイオプラスチックというより、簡単にマイクロプラスチックになってしまいやすい脆いプラスチック、という感じです。

それに、「酸化型生分解性プラスチック」はバイオプラスチックといいながら、謳い文句通りの時間で完全に分解するかどうかについて疑問を呈する専門家も多いとのこと。実際、「ディスカバー」というアメリカのケード会社が特殊なポリ塩化ビニル製の「生分解性クレジットカード」の提供を始めたけれど、最も毒性の強いプラスチックの部類に入るポリ塩化ビニルが無害に自然に分解するなんていうことは極めて疑わしいという見方が専門家たちの間で出ていて、ナラヤン博士という方が実験したところ、クレジットカードの約13%は微生物によって分解されたけれど、そこで分解は頭打ちになったそうです。

日本バイオプラスチック協会も、『「酸化型分解性プラスチック」は生分解性プラスチックではありません。』という声明を出しています。添加剤によって細片化したプラスチックには生分解性がなく、やはりマイクロプラスチックとして環境中に長期間残留することが懸念されるとのこと。

日本バイオプラスチック協会では、プラスチックそのものに生分解性があり、添加剤の力を借りなくても微生物の働きによって生分解が進み、6 ヶ月~2年程度で最終的に二酸化炭素と水になる性質を持つプラスチックのみを生分解性プラスチックと認定しているとのこと。

「酸化型生分解性プラスチック」のように、明らかに「いんちき」に思える「バイオプラスチック」も出回っているので、注意が必要です。

「プラスチック・フリー生活」では、バイオプラスチックを使うときの注意点が下のようにまとめられています。

  • 「自然」「バイオ由来」「植物由来」「生分解」「堆肥化可能」などの表現は慎重に読む(家庭で堆肥化できる場合もあれば、大型施設じゃないと堆肥化できない場合もあるそうです)
  • 酸化型生分解性プラスチックは使わない。
  • 製品にどんなバイオプラスチックが使われているのかを正確に見極める。(よくわからない場合、メーカーに直接問い合わせる)
  • 認証ラベルを確認する(日本では、日本バイオプラスチック協会による「グリーンプラ」と「バイオマスプラ」の認証があります)
  • ある製品が「堆肥化可能」と認証されたバイオプラスチックで作られている場合でも、最終製品が「堆肥化可能」の認証を受けているかどうかを確認する(製造過程で使われた添加物のせいで、完全に生分解しなかったり堆肥化できなかったりする場合があるそうです)
これに加えて、そもそも、「使い捨て製品の使用を避けること」が何より重要だと書かれています。たしかに、いくら生分解するといっても、資源や製造・輸送などのエネルギーを使ってつくられた使い捨てのバイオマスプラスチック製品をどんどん買って、使い終わったらコンポストや土の中にポンポン捨てればいい、というものではないでしょう。

一概にバイオプラスチック(バイオマスプラスチック)といっても、いろいろあって、まがい物もある、ということがわかりました。見極めるポイントも見えてきたので、店でバイオプラスチック商品を見かけたらチェックしてみようと思います。


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by 硲 允(about me)