森をつくる人々

ブラジル生まれの写真家、セバスチャン・サルガドさんのTED(2013年)でおこなったスピーチを視聴しました。


サルガドさんは、ルワンダでの撮影をおこなっていた頃、数々の人間の死を目撃し、人類への希望を失い、それによって自分の身体も正常ではなくなり、このままでは自分も死んでしまうと友人の医師から言われ、故郷のブラジルに戻ったそうです。かつては熱帯雨林だった家族の土地が、そのときには「開発」の名のもとに伐採されて自分と同じく死に瀕していましたが、植林して復活させます。

森林が人間にとっていかに大切か…口先で言うのは簡単ですが、これほど痛切に感じて訴える人をはじめて目にしたように思います。


また、都市部にその土地に古くから育っていた木々を植えて小さな森をつくるプロジェクトを世界各地でおこなっているShubhendu Sharmaさんのスピーチ(How to grow a forest in your backyard)も興味深く視聴しました。



Sharmaさんはかつて、トヨタで働いていたことがあるそうで、そこでは天然資源をどのように製品へと変えるかを学んだけれど、そうした製品は天然資源には戻らず、自然の中から一部の要素を取り出して元に戻せない状態にしていて、それが工業生産だといいます。他方、自然は正反対の仕組みで働いていて、原子一つひとつを組み合わせて別のものを生み出し、自然のあらゆる産物は天然資源に戻ると…。

そして、こう語っています。

This is something which I learned when I made a forest in the backyard of my own house. And this was the first time I worked with the nature, rather than against it.
(このことを、私は自分の裏庭に森林をつくったときに学びました。自然に対してではなく、自然とともに何かをしたのはこれが初めてでした。)

こちらも希望を与えてくれる映像でした。


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by 硲 允(about me)