脱皮


田舎暮らしはいそがしい。いそがしいと言っても、心を亡くす感じの「忙しさ」ではないけれど…。

冬は畑仕事が少ないので比較的余裕があるけれど、春になると毎日のように種まき。5月、6月になると、野菜の苗の手入れに追われる。追われると言っても、野菜が追いかけてくるわけではないけれど、自分で蒔いて、せっかく発芽してくれた野菜をちゃんと育てたい。適期に畑に地植えするかどうかで、その後の成長にずいぶん差が出てくるので、野菜は待ってはくれない。

毎日、寝る前にノートをつけるようになってから、ものごとがすっすと進むようになったけれど、どうも日々の「タスク」に追われている感もあり、これはいかがなものか、という思いが強まってきた。

ある日、相方と話していて、先のことを考えすぎると疲れるという話になった。あれもしなければいけない、あれもしたい…と「カウントダウン式」に物事を考えるよりも、今日はこれができた!と、「カウントアップ式」に考えて日々生きている人のほうが生き生きと楽しんでいるものだ、という話を少し前に一緒にラジオで聞いた。そうだろうな、と思いながら、ぼくは実践できていなかった。

最近、日々のすることに英語のトレーニングも加わって、さらにすることが増えた。「タスク」というふうには捉えたくないけれど、意識的・無意識的に「タスク」「to do」的にとらえていると、気持ちがつかれてくる。技術的「上昇志向」もいけない。人間性が犠牲になるような技術は無意味というか有害だろうと思う。

そんなこんなで、心のもちようを反省しているうちに、すっきりして、泥沼から抜け出したような、脱皮したような気分になって気持ちよく眠れた。翌日、いつもよりいい顔になっていると言われた。

「楽しむのが大事」と言いつつ、頭ではわかっているつもりでも、日々、真に実行するとなるとなかなか難しい。心の余裕が必要。時間と体力と気力の余裕も必要だろうと思う。


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by 硲 允(about me)