「純ジャパニーズの迷わない英語勉強法」(上乃久子 著)を読んで。

純ジャパニーズの迷わない英語勉強法」(上乃久子 著)という本を読みました。




「純ジャパニーズ」(略して「純ジャパ」)という言葉は、大学生だった頃にはじめて聞きました。英語学習界の用語でしょうか…要するに、日本以外で生まれ育ったり、留学したり、長期滞在したり、という経験がなく、ずっと日本で暮らしてきて、日本で英語を勉強してきた人のことを指します。ぼくもいわゆる「純ジャパ」なわけです。

この本を読んでいると、英語の勉強に「狂っていた」、学生時代を思い出しました。高校から大学の終わり頃まで、ぼくの頭の中はほとんど「英語の勉強」ばかりで、いろんな学習書を読んで勉強法を調べ、時間を惜しんで勉強していました。

その後、興味があちこちに移り、今は当時の自分には想像できないような暮らしをしていますが、最近、英語の勉強をしたい意欲が高まっています。翻訳など英語を使った仕事をしているので、仕事をするなかで英語の能力が鍛えられるところもありますが、日常生活で日本語しか使わない環境にして、仕事では英語を聴いたり話したりすることが滅多にないので、英語を使うといっても、使う分野や領域が限られています。リスニングは今でも苦手だし、スピーキングも、日本語で話すように自由にはいかず、日本語を使うくらいに自由に英語を使えたらいいのになぁと思うことがあります。

昨年、岡山で開催された自然建築のワークショップに参加し、そのときに、いろんな国から参加者が集まっていて、日本からの参加者以外は英語しか通じないので、基本的にワークショップは英語で進められ、1週間くらいの期間、日本語よりも英語を使ってコミュニケーションをとる日が続きました。ワークショップで新しい知識や技術を覚えるとともに、それを母語でない英語でおこなうというのは負荷が大きく、なかなか大変でしたが、1週間も英語で話したり聴いたりしていると、頭の中の言語が日本語から英語にだんだん切り替わっていき、最後のほうでは頭の中で何かを考えるときも英語がまずでてきて、メモをとるのも英語のほうがラクになってきて、不思議なものだと思いました。とはいえ、1週間だと、それまでに自分が蓄積してきた英語のストックの中でやりくりしている感じで、母語のように自由になれるわけではありません。日本語で話すように気軽に雑談したり感情を表現したりできないのはもどかしいものでした。そして、日本語しか使わない環境に戻ると、あっという間に頭の中は英語から日本語に切り替わりました。

1週間も英語を使って過ごす経験がそれまで無かったので、これは新鮮な体験でした。日常的に英語を使って暮らす環境で過ごせばどんなふうに英語が上達するのか、ちょっとわかりました。昔から留学にはほとんど興味がなく、日本で手に入る教材を使って英語の勉強をしていましたが、日常的に英語を使う環境に身をおけば、どれだけ効率よく英語を身につけられるか、思い知らされました。「純ジャパニーズ」でありながら、海外生活や留学を経験した人たちと同じくらいに英語を使えるようになろうと思ったら、「勉強」というカタチでずいぶん努力する必要があるものだと、改めて思いました。

この本の著者の上乃さんは、プロローグでこう書かれています。
では、なぜ「純ジャパ」の私が専門的に英語を使う仕事に就くことができたのでしょうか。それはやはり、「英語に対して並々ならぬ情熱を傾け、コツコツ努力してきた」からに他なりません。

ほんとうに、日本にいながら専門的に英語を使う仕事ができるようになるには、「並々ならぬ情熱」やコツコツと積み上げた努力が必要だと思います。この本を読むと、上乃さんの英語に対する並々ならぬ情熱が伝わってきます。ぼくも学生の頃、英語の勉強に熱中し、かなりの時間を費やし、「英語の虫」のようになっていましたが、上乃さんほどの情熱はなかったなぁと本を読んで思いました。

当時のぼくは、英語の勉強自体が好き、というか、ゲーム的に、自分の英語のレベルを高めていくことに喜びを感じていましたが、英語を使ってコミュニケーションをおこなうことにはあまり興味がありませんでした(だから情熱が限定的だったのでしょう)。最近は、ようやく伝えたいことがいろいろできてきたし、英語でもっと自由に世界中の人たちとコミュニケーションをとれるようになったらいいなぁという思いも生まれてきて、英語の勉強へのモチベーションが違ってきました。英語を極めたい、というよりも、日本語が話せなくて英語は話せる人ともっと自由にコミュニケーションをとれるようになりたい、という動機です。その違いによって、勉強法も違ってくるように思います。

英語の勉強法について、今になってまた勉強することになるとは思いませんでしたが、「The Lifestyle MUSEUM」というTokyo fmの番組で上乃久子さんのお話をお聞きし(Podcastでも聴けます)、本も読んでみたいと思って購入しました。やはり情熱がこもっているので、読み進めるのが楽しく、今後の勉強のヒントもいろいろあり、これを参考にさせてもらいながら今後の勉強計画を立てようと思っています。

勉強法の具体的な内容は、実践的で、アウトプット力につながることが重視されていて、なるほどぉ…と思うことが多かったです。

ぼくはかつては英語の勉強法マニアのようなものだったので、Amazonのページで目次を見ると、どんなことが書かれているかだいたい想像がつきましたが、詳しく読みたい、と思う項目が多く、買って全部読んでみたら、やっぱり買って正解でした。長年かけて、試行錯誤しながら築いてきた英語勉強法をこんなに惜しげもなく紹介してくれているのはありがたいことだと思いました。


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by 硲 允(about me)