「あらもの図鑑」(松野弘 編)を読んで。

あらもの図鑑」(松野弘 編)という本を読みました。



松野弘さんは、「暮らしの道具 松野屋」の店主。東京で暮らしていた頃に、このお店の近くを通り過ぎたことがあるようですが、訪れたことはありません。当時はこういうものにあまり興味がなかったのですが、今は興味津々…お店で何時間も滞在してしまいそうです。

「あらもの(荒物)」という言葉は今では普段めったに見聞きすることがありませんが、デジタル大辞泉によると、「《粗末なもの、雑なものの意から》ほうき・ちり取り・ざるなど、簡単なつくりの家庭用品」という意味で、松野屋は「平成の荒物屋」として、なるべく自然素材の暮らしの道具を扱っているそうです。

本でさまざまな荒物を眺めているだけで楽しくなります。台所用品では、ヒノキのしゃもじ、真竹の菜箸、木の杓子、竹の味噌こし、シュロのたわし…自分でつくってみたくなるものもいろいろあります。職人さんも登場し、たとえば朴の木の杓子をつくっているところが写真つきで紹介されていて、こんな道具をつかうのかぁ…と参考になりました。ヒノキでおたまやしゃもじをつくろうとしたことがありますが、手持ちの道具だけでつくるのはとても大変でした。

最近愛用している、第一ゴムの長靴も載っていました。




農作業や釣り用に開発された商品だそうですが、 最近はタウン用としても人気のようです。天然ゴムでできていて、柔らかくて軽いので、疲れにくいです。

昔のいわゆる「荒物」の多くが近年、プラスチック製品に置き換わってしまいましたが、昔ながらの手仕事でつくられた荒物は見ていて美しく、使って心地よく機能的で、日常の暮らしの仕事を楽しく快適にしてくれます。実際に使ってみてその心地よさを知るにつれ、自分の暮らしの空間から次第にプラスチック製品が姿を消し、荒物に置き換わっていきました。AIがどうのといわれる昨今ですが、暮らしの中に機械ものが増えていく家庭がある一方で、荒物が増えていく家庭もある時代なのだろうと思います。


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by 硲 允(about me)