ぼくは和歌山の街なかで生まれ育ち、大学の頃から10年ほど東京で暮らしていた。いつの頃からか、いずれは田舎で暮らしたいと思うようになった。東京で人生を終えるのはイヤだと思っていた。
原発事故で東京も放射能で汚染されたために、田舎に移住するのが早まった。それがなければあと数年、あるいは何十年も東京にいたかもしれない。長く住めば住むほどその地に親しい人が増えて離れたくなくなってくる。
夏の畑仕事や庭仕事をしていると、早く田舎に移住してよかったと、ふとしたときに時々思う。もっと歳をとってからだと体力がついていかなかっただろうと考える。30年近く、ほとんど肉体労働をせずに机に向かってばかりいる暮らしをしてきた。香川に移住して1年目のお米づくりでずいぶん鍛えられたけれど、外仕事が遅れているのに体がついていかないことも多く、「無敵の体力がほしい」と思うことがよくある。もっと歳をとるまで都会暮らしをしてから移住していたら、なおさら苦労しただろうと思う。
ぼくより歳を2倍以上重ねていても、田舎で子どもの頃から体を動かしてきたような方は体力が違う。近所のお米農家さんは、車で田んぼまで通ってきているので、ぼくが朝仕事をして昼頃に暑くなって一旦家に帰る頃に現れ、夕方涼しくなってぼくが畑に頃に帰られる。炎天下の一番暑い時間帯に草刈機で急斜面の草を刈ったり田んぼに入って草を抜いたりされている。その方は70代。和歌山の祖父は60代で亡くなったので、ぼくは子どもの頃、人間は60代くらいでこの世を去るものだと思っていたけれど、田舎では60代は働き盛り。若者は都会に出ていたり職場で大半の時間を過ごしていたりしがちだけど、定年退職する田舎の60代は、体力もまだあり余っていて、畑仕事や家や近所の力仕事で活躍することが多いように見える。長年、畑仕事や山仕事をしてきたような方は、傍から見ると、60代では体力の衰えはあまり見えない。70代や80代でもチェーンソーを持って木を伐っている方もいる。
ぼくは約33年生きてきて、まともに体を動かしたのはこの3年半と、中学生のときにバスケ部で毎日練習していた3年間くらい。「33分の6かぁ・・」というように時々計算し、「せめて半分くらいまでいったらもうちょっと動けるようになるかな」と思うことがある。
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by 硲 允(about me)
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