不愉快な接客

お店でモノを見てまわるのは楽しい。

お店に入ると、すぐに店員さんが寄ってきて、「何かお探しですか?」ときかれることがあるが、何か特定のものを探しているわけではなく、「なにかいいものないかなぁ…」という感じで、特にあてもなく、見てまわるのを楽しんでいる来店者が多いのではないかと思う。そういうときに「何かお探しですか?」と言われると、すぐにお店から出て行きたくなる。

明らかに何かを探している様子で困っている来店者も時々見かける。先日も手芸屋さんで、見るからに困った顔でブツブツ独り言を言いながら毛糸を物色している人がいたが、こういうときは「何かお探しですか?」がふさわしい。結局、店員さんが何かアドバイスしてあげて助かった様子だった。

お店で雇われて働いた経験がないのでわからないが、来店者が来たら何か話しかけるように指示されているのだろうか。とにかくいきなりくっついてきて、接客としては逆効果のことをベラベラ話してくるお店もある。長袖シャツを見ていると、「そちら長袖です」とか…「見たらわかるわ!」と言いたくなる。「こちら人気商品です」とか…みんな買ってるんだったらやめとこか、他の人が好きかどうかは関係ないし…と思えてくる。

最近の「流行り」は、通路にいる客が邪魔になっているときに、「いらっしゃいませー」と言って注意を引いて客によけさせて通路を通っていく「ワザ」だ。いつからか、この「ワザ」を使う店員さんが増えてきた。表面的な言葉は「いらっしゃいませー」だけど、本当の意味は、「どけどけー!」。これはけっこう、不快度が高い。自分が店員の立場なら、迂回できるなら迂回するか、どうしても客が邪魔になっている通路を通る必要があるなら「ちょっと失礼します」などと言ってよけてもらいそうなものだけど、この「ワザ」が誰かが思いついて始めて、他の人も「これは使える!」と思って取り入れてどんどん広まったのか、どこかのお店で接客マナーとして採用し始めたのか…とにかく来店者からしてみれば不愉快なことだと思うけど、これだけまかり通っているのは、不愉快に感じない人も多いのか…。

まぁ、店員さんの仕事も大変なんだろうとは思う。おかしな客もいるだろうし。先輩や店長がイヤな奴だったりしたら、客に親切にできなくなる気持ちもわかる。

「お客は神様」だとは思わないし、そんな扱いをすべきではないと思うが、お店の人も客も対等な人間で、心の通った一人の人間なんだという感覚が失われていると思えるような接客がしばしば見受けられるのは、大量生産・大量消費、とにかく経済を回せばいい、という世の中の弊害でもあるのだろう。

東京の大きな店ではあまり見かけなかったが、香川に来て、大型店やチェーン店でも、店の人と客が友だちのように話しているのをよく目にし、そういう様子を見ると妙にほっとする。


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by 硲 允(about me)