「ものは言いよう」(ヨシタケシンスケ 著)を読んで。

元気がないときでも読める本の存在というのはありがたい。

最近読んだ、「ものは言いよう」(ヨシタケシンスケ 著)というのは、自分にとってはそういう本だと思った(今はもう元気でました)。




絵を見る。文字を読む。くすっと笑ってしまう。くすっとでも笑えば、元気がどこかから漏れ出してくる。

「このさいヨシタケシンスケに聞いてみよう!100こくらい。のコーナー」の44個め、「子どもと向き合うときに大切にしていることは何ですか?」という質問に対する答えがツボでした。

著者の冴えない感じ(失礼…!)がいいなぁと思って読んでいたら、最後のほうに、こう書かれていた。

だから、僕の絵本で見てもらいたいポイントは……、「この人、弱い人なんだろうなあ」というのが伝わると本望ですね。そうです、その通りです、僕もできていない、一緒に傷をなめ合いましょうと。そこが伝われば、それは嘘じゃないので。(p.135)

自分が弱っているときは、「強い人」とはちょっと距離を置きたくなることがある。

強いばかりがいいとは限らない。強ければ強いほどいい、という価値観で世の中が染められていたら窮屈だ。強く見えて脆いこともある。弱くても柔軟で案外長持ちだったりする。両方ある(いる)からそれぞれのよさや面白さがわかったりもする。

お気楽に読んでいると、案外辛辣な側面もでてきて、それがまた面白い。「ヨシタケシンスケの絵本作家にナルニワ国物語」で、「そもそもさ、『絵本作家に向いてる人』ってどんなん?」という疑問に対し、A:子供をよく見ている人 B:子供の頃のことをよく覚えている人 C:今でも子供みたいな人 が出てきて、「BとCの人は、自分が好きなだけの人もいるんじゃないかな。」と書かれている。ちょっとギクッとした。