ブログというのは一人芝居のようなものかもしれないとふと思った。
デジタル大辞泉によると、ひとりしばい(一人芝居/独り芝居)というのは、
1 一人で数人の役を演じ分けて芝居を見せるもの。
2 相手がないのに、自分の思い込みだけでいろいろな言動をとること。
ということになっている。この2番の意味である。
相手は実はいるわけだけど、今書いているものを誰が読んでくれるのかはわからない。そこは、相手に向かって直接話すのと決定的に違う。相手が誰なのかはわからない。相手がどんな立場で、年齢で、どんな知識や前提や価値観や興味をもっているのかわからない。相手の反応も見えない。書いた記事を読んで、喜んでくれたのか楽しがってくれたのか、それとも不愉快な思いをさせてしまったのか、怒らせてしまったのか、それもわからない。わからないことだらけなので、自分の思い込みだけで勝手に書き続けるしかない。
とはいえ、時々感想を聞かせてくれる方もいて、そういうときはちょっと安心したり、うれしくなったりする。ネガティブなフィードバックは今のところ、あまりない。あったとしても、なるべく気にしないようにしている。相手がわからず、ひとり芝居で勝手に書くしかないので、見えない相手のことは気にしていられない。気にしていると、それこそ何も書けなくなる。無難なことばかり書いても仕方がないし、面白くない。なるべく無難な枠から飛び出したい。
反応がほしくて書いているわけではないけれど、うれしい反応があると、やる気が出たり、書いている意義を感じたりする。だけど、一人でまずは満足する必要があると思っている。一人で食事をしても美味しいけど、気の合う人と一緒に食事をすればもっと美味しくて楽しい、というのと似ているだろうか。それにしても、まずは一人でも楽しめないと、相手頼りになりすぎるのは心もとない。
ブログのアクセス数なんて気にし始めたら、書くのがますます楽しくなくなってくる。一時、ブログでそれなりの収入を得ようと試みていたが、そんなことを考えすぎると書くのが面白くなくなってきて、これはまずい、と思った。まずは自分が、書くことを楽しんでいれば、読んでそれなりに面白いものが書けるのではないかと思う。内容はともなく、書いているときの楽しさが相手にも伝わる。それは言葉のリズムに乗って伝わる。楽しいフリをしても、楽しいフリをしているリズムが伝わるものだ。本人の本心は隠しきれないものだと思う。というわけで、自分が楽しむのを第一にしたら、書く楽しさが戻ってきた。楽しさというのは逃げやすいもので、一度逃してしまうと、取り戻すのに苦労することがある。楽しさを見つけたら、それを逃さないようにしっかり手綱を握っておくのが大事。