行列

車でよく通る道沿いに、大きなチェーン店のアイスクリーム屋が最近オープンした。

子どもの頃に、たまにこのアイスクリーム屋に車で連れていってもらって、アイスを選んだのを思い出した。シャーベット系のを買うことが多かった。添加物とかがあまり使われていないんだったかな? スーパーのアイスよりも美味しかった。

東京や香川で見かけた覚えがなく、このアイスクリーム屋の名前を思い出したのはいつぶりだろう。香川で流行るのだろうか、と思っていたら、ある日曜日、駐車場に車がたくさんとまっていて、店のドアから外まで大行列ができていた。列の一番うしろのお客さんは、もしかしたら1時間くらい並ばなければいけないかも。貴重な休みの日に、長時間、アイスクリームのためにじっと並ぶというのは、なかなかできないことだと思った。そこまでして並びたくさせる引力がこのアイスクリーム屋にはあるのだろうか。ぼくには感じられない引力なので、面白く思った。人それぞれ、何に引力を感じるかは違う。ぼくが毎日していることをその行列の人たちが見れば、なんでそんなことをしていられるのだろうと不思議に思うに違いない。お互い様である。

そのお店を少し過ぎると、今度は大手コーヒーチェーン店に車の行列ができていた。その行列は車道まではみだし、交通整理の方が旗を振っている。ドライブするーの行列のようだ。列の最後の車は、おそらく30分は待たされるのではないか。コーヒーか何かを買うために、車でそんなに待たされて我慢できるとは、ぼくには真似できない我慢強さだと思った。他のお店にもっと美味しいコーヒーや何かがあるのではないかと思ってしまう。だけど、そこのコーヒーか何かがいいのだろう。人それぞれである。

車でさらに行き、もっと細い通りを走っていると、いかにも地元の店という感じだけどちょっとおしゃれ感もあるカフェが目に入った。倉庫のようなスペースで、大きく開け放たれている。いかにも新型コロナ対応という感じの店構えである。その付近の別のお店に用があったので、そこに車をとめて、散歩がてら、そのカフェまで歩いて様子を見に行った。それなりにお客さんはいたが、行列はなく、ここならすぐにコーヒーやら何やらを買える。カウンターに本が並んでいて、ちょっと入ってみたくなったが、外の看板に書かれたメニューにオーガニックのドリンクが見当たらないので、入ってみるところまではいかなかった。このマスク時代においては、飲食店も大変そうだ。高松では夜のお酒の提供が禁止されているとか…。カフェはまだしも、バーはますます大変だろう。烏龍茶しか出ないバーに行きたい客はいないだろうから、閉めている店も多いようだ。高松で夜にお酒が飲めないから、隣町まで飲みに来ているという方にこの間遭遇した。飲食店で夜のお酒を禁止したところで、どんな効果があるのか疑問である。世の中狂っている、と思うことが最近多い。前から狂っていたのか、さらに狂ってきたのか、狂っているのがよく見えるようになってきたのか、よくわからないが。とにかく、自分まで狂わされないように用心しなければ、と思う。