食と畑で若返る

東京で暮らしていた最後の頃、このままやと30代で急死してもおかしくないなぁ、と思うくらい、弱っていた。夏の暑さだけで疲弊しきっていたし、冬を越すのもしんどくなってきて、いよいよヤバいと思った。食をはじめ、生活全般の乱れが原因だ。おまけに放射能のリスクまで加わり、早々と死んでもおかしくない感が急に強まった。周りでも、若い人が急死した話をちらほら聞いた。つい最近までは元気で仕事をしていたというのに。おかしいなぁ、と周りの人が思っても、はっきりとした原因は究明されない。

食や生活の乱れは、身体や心を徐々に蝕んでいく。病院に行ったところで、原因も治療法もわからない不調がいろいろと起こってきた。胃が慢性的に痛いし、心臓付近にも痛みがあり、不整脈も出てきた。胃が痛くて病院に行って医者に見てもらったら、ちょっと痛いくらいでめそめそ言うな、という感じで突き放された。もっと大病をしている人もいるんだから、というようなことを言われ、そんな人と比べられても困るんやけど…と思ったけど、言い返す言葉を知らなかった。今だったらちょっと機転の効いた返しができそうな気もするけど、そんな診断は予想外だったので、まるで準備ができていなかった。なんな、この医者は…と腹を立てて帰り、医者という立場の人間への不信感が強まった。こんな医者ばっかりじゃないと思うけど、こんな医者が世間で通用している、というのが不思議だ。こんな病院が成り立っているというのは、やっぱりこんな医者が多いんだろう。

病院や医者頼りでは自分の不調は治らない、ということがだんだんわかってきた。それよりも、まともな食事をし、不規則な生活を立て直すべきだという当たり前のことにたどり着いた。

当時、加速的に顔も老けてきて、これはまずいと思った。率直なタイプの人から、あなたの顔は40代!(だったかな?)と言われた(当時、実年齢20代)。

食をまともにすれば、若返る。最近は、実年齢よりも若く見られることが増えた。駅で特別な切符を買うとき、駅員さんに学生かもしれないと思われた。この間、カフェに行くと、「お兄さん、肌きれいやもんね」と言われた。いつの間にやら30代後半になったけど、「いってて32やわ」と言われたこともあった。若返りを目指したわけではないが、暮らしを立て直したら、いつの間にか若返ったらしい。最近は、コロナ大丈夫そうと言われる。かからなさそいう、ということなのか、かかっても大丈夫そうなのか、よくわからないけど、とにかく大丈夫そうに見えるらしい。やっぱり、ワクチンやマスクはアルコール消毒よりも、食生活だ。それと比べるな、と思われそうやけど、たしかに、比べものにならないくらい、食生活のほうが大事だろうと思う。

若返りの原因は、食の変化もあるけど、毎日のように畑に行ってるのも大きいと思う。家の中にいたり、空気のわるい街をぶらついたりすると肌が乾燥したり濁った感じになってくるけど、畑から帰ってきたばかりのときに鏡を見ると、植物の潤いで肌つやがよくなってちょっと若返っている。ぼくは肌が薄いほうで、街にいるとすぐに乾燥してパサパサしてきやすいけど、森に行ったり畑に行ったりすると潤いが戻ってくる。高価な化粧品よりもよっぽど効果がある。よくわからないものがいろいろ入った化粧品もリスクがある。年を重ねた人を見ると、化粧や化粧品を長年使ってきた女性よりも、ほとんど何もつけずに素肌をさらしてきた男性のほうが肌がきれいに見えることが多い。畑や森に通っている人は、肌がきれいなことが多い。美肌を求めて畑や森に入っていくのもおかしいけど、やっぱり自然の力はすごい。