アーユルヴェーダ的、一日の生活リズム

この春から夏頃にかけて、アーユルヴェーダの本を何冊も読み、いろいろ実験しながら取り入れてきた。最近はひと段落ついて、自分に不要と思えるものは手放し、必要そうなことだけ続けている。続けていることの一つに、一日における時間帯のドーシャを意識して過ごす、ということがある。詳しいことは、本やインターネットで調べればいくらでもでてくるが、アーユルヴェーダではカパ(水)、ヴァータ(風)、ピッタ(火)という3つのドーシャでいろんなものを分類、分析している。一日の時間帯も、午前2~6時はヴァータ(風)、午前6~10時はカパ(水)、午前10時~午後2時はピッタ(火)、午後2~6時はヴァータ、午後6~10時はカパ(水)、午後10時~午前2時はヴァータ(風)、というように区分する。24時間の区分けを時計2周分、全部書き出してみたが、午前と午後に関係なく、時計一周分の区分けを繰り返しているので覚えやすい。午前2~6時も、午後2~6時も同じくヴァータ(風)である。

カパ(水)の時間は身体が重く、停滞しやすいと言われている。たしかに、朝は身体が重たい。この時間帯に、なるべく身体を動かすようにすると、その日一日調子がいいということが経験的にわかってきた。前まで、朝起きてすぐに朝食を食べることが多かった。しかも、朝からたっぷり食べる。ご飯に、野菜たっぷりの炒めものかスープ、それにデザートまで食べることも…。ところが、朝っぱらから、動き出す前にこんなに食べると、身体が重たくなって、やる気も出てこない。最近のルーティンは、朝起きて、口をゆすぎ、白湯を沸かしている間にヨガをし、白湯を飲み、瞑想をして、時間に余裕があるときは畑仕事や庭仕事をしてから朝食。このほうがずっと、体調がいい。身体も軽い。朝、いきなり食事をするのは、身体にとってけっこうな負担になるということがわかった。畑仕事や掃除などをして身体を動かし、お腹がぐうぐう鳴り出してお腹がしっかり減ったなぁ、という感覚を得てから食べると、お腹の調子もよく、朝から全身がだるくなったり重たくなったりしにくい。ひと仕事終え、体がほどよく疲れているので、心持ちもゆっくりと食事ができるのもいい。朝、体力が気力があり余っている状態で食事を始めると、早くいろいろしたくて心がそわそわすることがある。そんな状態で食事にすると早食いになってしまいやすいし、結局、食べたあとには体が重たくなり、やる気があったはずなのに、思うように仕事がはかどらない、ということになる。

昼のピッタの時間帯(午前10時~午後2時)は、「火」を意識している。すぐに燃やしてしまいたいような情報を扱うのはなるべくこの時間帯にする。不安や恐怖を引き起こしそうな情報が含まれている本やネットの記事を読んだり、雑多な情報を処理するのは、この時間帯が適しているようで、ダメージを受けにくい。夕方におそろしい情報をたくさん取り込むと、寝るまでに頭と心の中で処理しきれないようで、眠りが浅くなったり、寝ている間に歯ぎしりをしたり食いしばったりしてしまいやすい。夕方以降は、心をざわつかせるようなものをなるべく避けるようにしている。夜に難しい本や、やる気が出過ぎる本や、不安になってくるような本を読むのは避けたい。確実に、落ち着いた、平和な気持ちで読める本だけを手に取るように気をつけている。

20代の頃、夜型生活が長かったのもあり、油断するとすぐに夜型に戻ってしまうことが多かったのだけど、最近はすっかり朝型になってきた。夕方になると、疲れを感じるようになった。前は、そんなことがなかった。疲れていても疲れを感じられていなかったのだろう。そのくせ、常に疲れていた。夜型人間は、夜になると興奮し、やる気が出て、なにやら燃えてくる。午後10時~午前2時はピッタ(火)の時間らしい。この時間に燃えてくる、というのはよくわかる。ぼくもかつてはそうだった。だけど、この時間に燃えて活動すると、翌日は朝寝坊になるし、ぐったりとした疲れが残り、エンジンがかかるまで時間がかかる。それよりも、夜の火の時間帯になる前に寝てしまったほうがいいリズムで生活できることがわかってきた。夜の火の時間帯は、消化の火を燃やし、消化・吸収の力が活発になるようだ。たしかに、夜型人間だった頃、その時間帯になるとお腹が空いた。夜食ぼりぼり。だけど、次の日には胃がもたれている。疲れをとったり、細胞を回復させたりするには、午後10時~午前2時の時間帯に寝ているのが大事だという話を、アーユルヴェーダに限らず、よく見聞きする。それは体感的に正しいと感じる。同じ時間睡眠をとったとしても、その時間帯に寝ていると、疲れがよくとれるし、比較的短時間の睡眠でも満足することが多い。ぼくは中学校に入るくらいまで、夜は9時までには布団に入っていた。あれはよかったのだろうと思う。それ以降は大人の時間だった。夜の0時なんていうのは、お化けがでてもおかしくない時間帯だった。

アーユルヴェーダでは朝の6時より前に起きたほうがいいとよく言われるようで、一時は実践してみていたけれど、疲れているときは無理して早起きしないほうが調子がいいようにも思うので、無理しないことにした。夜寝る時間を、とにかく早く、なるべく10時まで、遅くとも10時半までに布団に入る。起きる時間は、体任せ。疲れがたまっていなくて調子がよければ5時から7時の間に目が覚めるし、疲れがたまっていればそれより遅くなることもある。早寝さえすれば、早起きは自然とついてくる。遅寝なのに早起きしようとすると、無理が生じる。アーユルヴェーダでなんと言われようと、睡眠の専門家がなんと言おうと、自分にとって、最適な生活のリズムを探るのが大事なのだと思う。夜型が自分に合っている、という人もいるだろうし、必要な睡眠時間も人によって違うようだ。自分にとって最適な生活リズムは、どんな本を読んでも、誰に聞いても正確な答えは見つからない。日々、自分で実験していくことでわかってくるもので、その実験そのものが面白くもある。