お米の虫干し

子どもの頃だったか、テレビのニュースで虫のわいたお米が映し出されているのを見ておそろしかった記憶が時々よみがえります。お米に虫がわいて何キロ出荷停止…みたいなニュースだったのでしょうか、そんなニュースはあまり見かけないですが、たまたま放送されていました。

そのニュースを見て、こんな虫がわいたらお米は捨てるしかないんだろうと思っていましたが、いざ自分で育てたお米に虫がわくと、そう簡単に捨てるわけにはいかなくなります。

前にも買ってきたお米に虫がわいて、ひと苦労でした。卵が混ざっていたのでしょう。乳白色の幼虫がたくさん生まれ、あっという間にさなぎになって米粒いくつかを団子状にかためつつサナギになり、あっという間に羽の生えた成虫になります。紙でできた米袋を簡単に破って出入りするので、困ったものです。このときは玄米だったので、精米する度に、虫をつまみ出しました。全部出そうとしてもきりがありません。食べきるまでのお付き合いと思うことにしました。

今年は、うちで育てたお米に虫がわきました。一気に精米し過ぎたのが間違いでした。ちょっと遠くまで車で出かけて精米してくる必要があり、何度も行くのは手間も時間もかかり、欲張ったのが間違いでした。結局、虫対応に手間がかかり、何度かに分けて出かけて精米してきたほうが得策でした。

今回は前とは違う虫の登場です。米に似た白さで、ごく小さく、相方は最初、白カビに見えたそうです。ところが、拭き取っても翌日には復活しているのでおかしいな、と思ってよく見ると、動いていたのです。よく見なければ気づかないくらい小さな白い点です。いくら小さくて白い点くらいのものでも、虫には違いなく、放っておくと増えるしどんな成虫になるかわかりません。またしても面倒なことになりました。

どうしようか、ちょっと考えました。こういときは考え込むよりも動いたほうがはやいです。とりあえず、お米の入った瓶を外に出しました。果実酒を漬けるときに使うような、しっかりと蓋がしまる瓶です。虫が外から入らないように厳重に蓋をできる容器に入れていたのに、たくさん虫がわいてきた、ということは、もともとお米の中に卵があったのでしょう。小さな虫なので、ざるの目は通りません。ざるに半分くらいの量のお米を入れて、手でかきまぜたり振ったりして、ザルの目から虫や糞や卵を落とし、それから、紙を敷いたその上に盛り上げていき、天日干しすることにしました。古本屋とかで、虫干ししているのを思い出しました。虫干しという言葉があるくらいだから、虫は干せばいいんだ、と思いました。



天気のいい1日じゅう、しっかり虫干ししました。念のため、もう一度、ざるでふるってから、瓶に戻しました。その後、お米の瓶の中で虫の姿を見かけていません。半日がかりでしたが、今回は案外簡単に解決しました。まだ2瓶弱、精米したお米が残っています。新たに虫が生まれるのが先か、食べ終わるのが先か…最近、お米を食べるペースを上げています。