ジムより山

車で走っていると、おむすび型の小さな山が見えた。この山を手入れしている方のお話をうかがったことがある。山をひとつ、きれいでいい状態に保とうと思ったら、何人もの人の協力が必要なのだと思った。それなりに苦労はありそうだけど、楽しそうだった。登りに来た人も手伝ってくれるという話も聞いた。

この山に夏に途中まで上ったことがあるけど、蚊が多すぎてすぐに退散した。

この山はおだやかに見える。寂しそうな山も多いけど、この山は人がたくさん訪れるみたいで、寂しそうにしていない。おだやかな顔をしている。相方は「人懐こそう」と言った。そんなふうにも見える。

それにしても、蚊があんなに多かったのはなぜだろう。蚊が多いのは淀んでいる場所、というふうにも思うけど、蚊が多くても雰囲気がいい場所もある。うちの庭も、だんだん雰囲気はよくなってきたけど、相変わらず蚊が多いなぁと思った。

近所で自由に歩ける山があるのはいいことだと思った。体を動かしたくなったら、山に行けばいい。その日によって、季節によって、時間によって、タイミングによって、見えるものが違う。いろんな生きものがいる。「ジムより山」だと思った。ジムを否定するわけではなく、ぼくもかつてはお世話になってたけど。なにかのよさを強調するときに、ほかのものをもってくるのはよくないクセだと思った。でも、やっぱりジムより山だと思う。