安いバナナの裏側。「スミフルのバナナは買わないでほしい」(by元従業員)

暑い季節、バナナが美味しい。

うちではイオンやマルナカ(香川にたくさんあるスーパー)、春日水神市場(香川県高松市)などで販売されているフェアトレードの有機バナナを買うことが多い。


日本のバナナ販売でシェアNo.1は、「スミフル」のバナナらしい。悪名高きスミフル。でも、そういう情報はあまり流通していないようにも見える。

2019年6月に、スミフル・フィリピン社のミンダナオ島にあるバナナ農園でかつて働いていた方2人が日本を訪れ、劣悪な労働環境や人権侵害について訴え、日本の消費者に支援を求めたとのこと。

その被害の実態は、FoE Japanのブログに写真つきで詳しく書かれている。
住友商事・スミフルは今すぐ対応を!血に染まるバナナ―現場からの緊急報告
労働者たちは、梱包工場で過酷な労働環境で働かされたり、不当な労働契約を結ばされたり、有毒な薬を使用させられたり(防具は自腹)…。

エシカルバナナ・キャンペーンというウェブサイトにもその実態がまとめられており、生きていけないくらいの低賃金で、長いときは毎日23時間もの長時間労働を課せられるという。

そうしたなか、正当な権利を主張する労働者たちの家や組合事務所が放火されたり、暴行や銃撃事件も相次いでいるという。

スミフルの株の約半数を住友商事が所有していたが、スミフルの元労働者が日本に窮状を訴えに来たちょうどそのタイミングで、住友商事は株を手放した。売却先は、ソーントン・ベンチャーという企業で、この企業はタックスヘイブンのモーリシャスに本社を置いており、どんな企業なのか実態もわからないという(印鑰智哉さんのブログ記事より)。

下の映像は、スミフルによる農薬の空中飛散による健康被害を生々しく伝えている。

大地に降り注ぐ『毒の雨』



制作:IDIS(2015年)/日本語字幕:印鑰智哉


バナナ農園で働く方たちは、同意していない空中散布に悩まされているという。子どもたちも学校に行って外に出ているときに農薬を浴びさせられている。川も汚染され、その水を飲んで内蔵疾患になったり、直接浴びて皮膚病になったり…。野菜も農薬にまみれ、家畜も農薬で殺され、大変な状況だ。

日本に来日された元労働者たちは、日本の消費者に対して下のように訴えたという(週刊金曜日 2019年7/5 1239号 「フィリピンのバナナ農園労働者が劣悪な労働環境を訴える 「スミフル」バナナを買わないで」より)。
日本のみなさんにもぜひサポートしていただきたいですが、そのためにはスミフルのバナナを買わないでほしい。ボイコットしてほしいのです。かわりに、労働者の権利を大切にするオルタナティブな企業のバナナを買ってください。日本の消費者がこのようなアクションをしてくれれば、スミフルに対して、平和的かつ大きなプレッシャーを与えられるのではないかと思います。(ディソン氏、セノ氏)

週刊金曜日の記事によると、お二人は今回の来日で、住友商事のほか、スミフルジャパン、スミフルのバナナを取り扱うイオンなどの流通小売各社に面会を求め、唯一、イオンだけは正式な面会が実現したが、「スミフルのバナナを取り扱わないでほしい」という要請に対し、特に返事はなかったという。

うちの近所のイオンでは、フェアトレード(&オーガニック)のバナナを置いてあるときとないときとあったけれど、相方がお客様カードでお願いしたところ、最近では常時置いてくれるようになった。消費者の小さな声や行動は、案外大きな力を持っているかもしれない。


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by 硲 允(about me)