「ミニマリスト」といっても、自分の直接的な所有物が少ないだけで、大きなシステムに依存しているのでは本当の「ミニマル」ではないと、ふと思った。
都会のマンションやアパートの一室でミニマリストを実践するといっても、買ってくる食材や外食する料理の材料の多くは、地方からエネルギーを消費して運ばれてきている。衣類の材料も海外から運ばれ、電力も遠くから運ばれた燃料で発電され、送電線を流れて運ばれてきている。
たしかに自分のごく身のまわりはミニマルですっきりしているかもしれないが、その外側にある大きなシステムがなければ自分の暮らしが成り立たないのであれば、それは本当の意味でミニマルな暮らしとはいえないだろうと思った。
2014年に東京から香川へ移住して以来、暮らしのモノがどんどん増えた。農具に工具、家具をつくったり家を直したりするための材料など…。所有物は増えたけれど、暮らしはコンパクトになった気がしている。畑に行けば、その日一日の野菜を収穫できる。お米もある程度は田んぼで育つ。完全に自給自足とはいかないけれど、田畑をうまく回していけば、たとえ食材を買えなくなったとしても、飢え死にすることはない。
離れに引っ越してからは使っていないけれど、コンポストトイレを使えば、排泄物の処理を外部のシステムに頼る必要もなくなる。
電気は普通に四国電力から購入しているが、うちでは冷蔵庫も洗濯機もテレビも電子レンジも使っていないので、電気代は母屋と離れを合わせて1000円程度。屋根にずらーっと設置する本格的なソーラーパネルを使うまでもなく、ある程度の大きさのパネルを庭に数枚設置すればまかなえるだろうと思う。
巨大なシステムはたいてい、無駄が多い。食材を長距離運ぼうとすれば、鮮度が落ちるし、輸送に石油資源を消費し、大気も汚染し、人間の労力も必要とする。電気を長距離運ぼうとすれば、送電ロスがあるし、使わずに捨てられず電気もあるし、原発のリスクはあまりに大きい。
外部システムへの依存を完全になくすことを目指しているわけではないけれど、なるべく、地球を無意味に汚さず、ムダのない暮らしをしたいと思っている。
今のところ、町の一角でのはじめての田舎暮らし。自転車でちょと行けばコーナンやイオンがあって、暮らしに必要なモノは簡単に買える。田舎暮らし初心者にはちょうどいい立地に恵まれた。都会暮らしからいきなり山暮らしだと、ギブアップしていたかもしれない…。
将来的(数年後?)には、もっと町(街)を離れ、水も自然から直接得られるような場所で、さらに自分たちの理想とする暮らしを追求したいと思っている。何でも自給し、何でも自分でつくろうとすると大変になりすぎるけれど、最低限、幸せに健康に暮らすために必要なものを自然の力を借りてまかない、地球や他人になるべく余計な負担をかけず、あらゆる生命がもっと幸せに生きられるようにするための暮らしがどういうものかを追求していきたい。
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by 硲 允(about me)