『はちみつ日和』(前田京子 著)を読んで、はちみつ愛を刺激される

『はちみつ日和 ~花とミツバチと太陽がくれた薬』(前田京子 著)という本を読みました。



ぼくは砂糖を食べると歯茎が腫れてくるので、普段、甘みはハチミツで摂ることが多く、ミツバチさんたちにはずいぶんお世話になっています。この本は、著者のはちみつ愛が伝わってきて、はちみつやミツバチたちへの興味が深まり、読んでいるとますますはちみつが好きになってくるような本でした。はちみつにこんなに夢中になっている方は他に知りません。巻末の主要参考文献では98個も紹介されていて、ここからも、その熱意が伝わってきました。

丁寧に情報源を示されるとともに、自分の感覚も大事にされているバランスのよさにも、読んでいて心地よさを感じました。

はちみつを選ぶ際、「精製や加糖、加熱、汚染のない、酵素やビタミンの生きた天然の純粋なはちみつ」を求めるならその条件を可能なかぎり「きちんと確かめる」につきる、といいます。それとともに、「味覚のものさし」を使って、自分好みのはちみつを見つけるといいそうです。味見する際には、「はちみつを口に含み、広がっていく風味の重なりを感じながらゆっくりと飲みくだし、それから後味が消えていくまでの時間をじーっと待つ」そうです。さらに、口の中からはちみつが思い出や想像力、感情に訴えかけてくるかどうかも、上質のはちみつを味わい分けるポイントになるそうです。たしかに、大量生産のいかにもなチープなはちみつは、豊かな後味が欠けていて、舌先には甘いけどそれ以上の広がりが感じられません。

最近では、その抗菌作用でマヌカハニーが有名ですが、ミツバチ療法(アピセラピー)は、以前からずっと、世界各地で研究されてきたそうです。
今になって、『医療用はちみつ』なんてわざわざ言うけどね」と知り合いのアピセラピー専門家は言う。「それって、なんなの? なんだか変よね。だって、はちみつは、大昔から、元々、薬だったんじゃないか」(p. 44)

ぼくもマヌカハニーを食べ始めるまではちみつの効能には無頓着でしたが、そうだったんですね。

はちみつの効能については、風邪、インフルエンザの予防、冷え性、便秘の緩和、疲労回復、胃の不調の緩和など、いろいろ紹介されています。びっくりしたのは、寝る前に、歯磨きのあと(!)、はちみつをひとさじ舐めると、その抗菌作用で、翌朝、口の中がすっきりしているという話。そういうことは前にも聞いたことがあって半信半疑だったけれど、はちみつを歯や口腔ケアに使うことについてはニュージーランドやパキスタンなどで研究があり、歯医者さんが勧めていることもあり、実際に試して効果が出ている場合もあるそうで、興味深いです。といいつつぼくは試したことがないのですが、その際にはもちろん、「精製、加糖、高温加熱のない純粋な天然はちみつ」であることを念には念を入れて確かめてから使ってください、とのこと。砂糖入りのハチミツを毎晩寝る前に舐めていたら、虫歯まっしぐら!

この本では、ハニーキャンディ、はちみつ水 手作りイオン飲料、はちみつビネガードリンク、はちみつドレッシング、はちみつ練り味噌、はちみつと花粉の練り合わせなど、はちみつの楽しみ方(レシピ)がたくさん紹介されていて、いろいろ試してみたくなります。ローヤルゼリーやプロポリスにも興味が沸いてきました。プロポリスというのは、健康食品としてよく見聞きするものの何なのか知らなかったのですが、巣の中をばい菌やカビなどから守るためにミツバチが植物の新芽の分泌液や樹液を集めてきたものだそうで、これによって、女王ばちやはちの子どもの食べものであるローヤルゼリーが常温でも腐らないようになっているらしい。

はちの針による治療を受けたあとがきにも感動しました。

はちみつは奥が深い! それを探求したくなってくる一冊です。


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by 硲 允(about me)