ウォッシャブルウールはなぜ洗える?洗えても機能は低下している

織り物をするために毛糸を探しに行くと、「洗えるウール」や「ウォッシャブルウール」と謳った製品を見かける。一般的なウールと何が違うのか、どういう加工をしているのか気になっていたところ、何かの雑誌で、その答えが書かれているのをたまたま発見した。

羊毛の繊維の表面には、うろこ状の「スケール」と呼ばれるものがあり、洗うとそれが絡まってフェルト化してしまうことがあるので、一般的な洗えるウールというのは、この「スケール」を塩素で溶かしてなくしているのだという。

ところが、塩素は肌にはよくないし、製造過程でどう処理しているのかわからないが、有害物質が排出されることになるだろう。

いわゆる「ウォッシャブルウール」や「洗えるウール」でなくても、洗剤を選べば、家でも簡単に洗える。うちでは、洗濯に主にがんこ本舗の生分解性洗濯用洗剤「海へ…Step」を使っていて、ウールもこれでジャブジャブ洗っているが、特に傷んでいる様子はなさそうだ。

その雑誌の記事は、佐藤繊維のRaYS(レイズ)という特殊なウォッシャブル加工を紹介するものだった。この方法では、有害物質を使用せず、スケールもそのまま残すことでウールの機能を維持するらしい。

フェルト化しないようにスケールを溶かし去ってしまうというのは短絡的な方法で、スケールには有益な機能があり、スケールを閉じていれば湿度と体温を保ち、一方で高温多湿時にはスケールが開いて熱を放出し、体温を下げるという(佐藤繊維のブランド「991」のウェブサイトより)。 これを取り除いてしまうというのは、いくら「ウォッシャブル」になったところで、本末転倒だというふうに思える。

これからは塩素を用いた一般的な「ウォッシャブル」の毛糸製品を買うことはないだろう…。


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by 硲 允(about me)