「夢の国」であるはずの米ディズニーランドは社員たちには悪夢だという。

ディズニーランドには2、3回、ディズニーシーには1回だけ行ったことがある。ディズニーランドはアトラクションの順番待ちで並んでいるときのこと以外ほとんど覚えていない。ディズニーシーは、神経が繊細になっている頃に行き、センター・オブ・ザ・ユニバース(だったかな?)というジェットコースターに乗って恐ろしかったのと、水の上で鉄の人形のようなものが動くショーがあって、それにちょっと感動したのを覚えている。

アメリカのディズニーランドには行ったことがないが、社員が低賃金で苦しんでいるという記事を読んだ(The Guardianに掲載された、米国上院議員のバーニー・サンダーズ氏による記事)。

米国ディズニーは、2017年に90億ドルの利益を上げている。トランプ政権によって16億ドルの税控除を受けるとともに、所在地のアナハイム市からも数億ドルの税控除を受けているという。役員らは、推定4億2300万ドルの報酬を4年間得ることが最近約束されたらしい。

その一方で、社員たちは低賃金に苦しめられている。
  • 平均時給は、2000年の15.8ドルから2017年には13.36ドルへと15%減少。
  • 80%以上の社員の時給は12ドル以下。
  • 4分の3近くの社員は、毎月の基本的な出費を支払うのに十分な賃金を得ていない。
  • 半分以上の社員が、家やアパートから立ち退かされることを懸念している。
  • 10人に1人以上の社員がホームレスを経験している。

低賃金で働いている社員の一人の話によると、数十年前、その方の祖父母もディズニーで働き、家庭を築き、中流の生活を営むことができたが、今日では、「夢の国」である魔法の場所は社員たちにとっての悪夢になったという。

トップ1%の富裕層ばかりが儲けるのではなく、週に40時間働けば貧困に陥ることのないモラル・エコノミー(道徳的経済)をつくるべきだとサンダース氏は述べる。週に5日、朝から晩まで働いても衣食住ままならないというのでは辛すぎる。活用しきれないほど富をため込んだ人たちから(その人たちからすれば)ほんのちょっと手放してもらって、まともに働いているのに貧困に追いやられた人たちに分配すれば簡単に解決するはずだけど、なかなか手放そうとしないのだろう…。

一見「夢の国」のディズニーランドも、裏ではそんな苦しみの上に成り立っていることを知れば、無邪気にアトラクションを楽しめる人は減ってくるのではないかと思う。SNSなどで個人が発信力を高めたり、インターネットで自分から情報を探しにいきやすい時代になった今、表面だけきれいに飾り立てていても、化けの皮はすぐに剥がれる。表にも裏にも納得できるサービスが生き残っていく時代になるだろう。


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by 硲 允(about me)
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