「小商いのはじめかた」(伊藤洋志 監修)を読んで。まずは好きなことを見つけるところから…

「小商いのはじめかた: 身の丈にあった小さな商いを自分ではじめるための本」(監修: 伊藤 洋志、編集: 風来堂)を読んだ。



個人で小さく始められて、好きなことや興味のあることを仕事にしていく、「小商い」や「なりわい」や「マイクロビジネス」などと呼ばれるものへの関心は最近ますます高まりつつあるように思う。

ぼくも数年前からそういうことに興味を持ち、本をつくって販売したり、手仕事や働き方に関するセミナーを開催したり、草刈りや庭木の手入れなど地域のちょっとした仕事を引き受けたり、いろいろと試してきた。今年からは本以外にも、いろんなものを販売していこうと準備中。

田舎でなるべくお金のかからない暮らしをするといっても、現金はある程度必要になる。東京で暮らしていた頃は、お金よりも自由な時間を求めていたが、香川に移住して自由な時間が増え、やりたいことも増え、そのために現金収入のニーズも高まってきた。

とはいえ、気の進まないことをして自分の時間を切り売りするのは避けたい。一回の人生は有限。なるべく、意義を感じられることだけをして過ごしたい。

「なりわい」や「小商い」をもうちょっとちゃんと確立していきたいと思っていて、その参考にと、この本を読んだ。

この本では、もともと好きで集めていた多肉植物を販売されている方、柿渋染めをしてバッグやブックカバーなどをつくられている方、移動本屋さん、HIP HOPにのせてレシピを伝えるラッパーの方、壺を使った焼き芋屋さん、山形に移住して山菜採集をされている方など、ジャンルはさまざま、全部で14人(組)の方たちが登場する。

読んでいるだけでも面白く、あっという間に最後まで読んでしまった。読んでいると自分も何か始めたくなってくる。

全員のストーリーを読んで思ったのは、まずは「好きなこと」や「興味のあること」ありき、だということ。「小商い」になりそうだからといって、自分の好きでもないことや興味のないことに手を出し、それが商売になったところで、続けていて面白くないだろう。好きなことを続けていて、それがいつのまにか「小商い」になったとか、好きなことをちょっとした工夫と努力で「小商い」にした、という流れがいいのだろうと思う。

好きなことが特に思いつかない場合、好きなことを見つけるための小商いを生み出すのもいいかもしれない。たとえば、好きなことを小商いにしている人たちにインタビューをして小冊子をつくって販売したり、そういう人たちの話を聞くワークショップやセミナーを開催したり。

本書の最後の章は、「小商い便利帳」になっていて、食品や古書の販売、屋台出店など、小商いをするにあたって手続きや資格が必要になる場合のお役立ち情報がまとまっているのもありがたい。

本のつくりもきれいで、家に置いておいてうれしい本だと思った。


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by 硲 允(about me)
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