『からだ・シアター』(五味太郎、寺門琢己 著)を読んで。

『からだ・シアター』(五味太郎、寺門琢己 著)という本を読みました。



「熱がでる」「すりむく」「火傷する」「鼻血がでる」など、からだのいろんな症状について、絵本作家の五味太郎さんがイラストと体験談をかき、整体師の寺門琢己さんが整体的な観点から説明を加える、というスタイルの本。

それぞれの症状に悩んでいなくても、読みものとして面白く、最初から最後まであっという間に読んでしまった。からだというのは、持ち主が大事にしなくても少々手荒に扱っても、いろんな症状を出して日々がんばってくれているなぁ、というのを改めて思わされます。

実用的に役立つ情報もいろいろ書かれています。すりきずには、もぐさを焼いた灰を患部に直接塗ると数時間で治るそうな。

ぼくは今まで骨折したことがありませんが、骨折した骨が再生してつながっていくときに、骨組織が増殖して以前よりも骨が太くなる、という話も驚きました。

もくじに並んだ、いろんな症状を見ながら、ぼく自身、それぞれの症状に関するエピソードが何かなかったかなぁと考えてみました。

「ニキビがでる」

これには高校生の頃、ずいぶん悩まされました。ぼくはなぜか、ニキビの原因はお肉に違いないと判断し、お肉を食べるのをきっぱりとやめました。すると、ニキビの出現は控えめに保たれ、周りに勧められてもお肉は断固として食べずにいました。ところが、修学旅行でお肉料理が出て、少し食べてみたところ、それでニキビが急に現れることはなく、「あれ?」と思って、肉食を再開しました。それ以降もニキビの状況はそれほど変わらず、いつの間にかニキビに悩まされる年齢ではなくなりました。

今思えば、お肉だけを悪者扱いしていた考えの浅さにつっこみを入れたくなります。白砂糖は制限なく毎日たくさん摂っていたし、ピーナッツの大袋を一気食いしてニキビを招いたこともありました(この時はさすがにピーナツが原因だということが明らかで、その後、ピーナッツもやめました)。何かの原因を早とちりして一つだけに決めつけてはいけないなぁ、という教訓です。


「足がつる」

これは足がつる、のうちに入るのかどうかわかりませんが、寝ているときに、膝がヘンな位置に入って、曲がったまま動かなくなることがよくありました。伸ばそうと思っても痛くてすぐに伸びない…でも、そのままにしておくとますます固まってしまいそうだし、歩くこともできず、助けを呼ぶほどの重体でもなく、焦る気持ちを抑えながら、痛みに耐えながら、曲がった膝をゆっくりゆっくりと手で伸ばしていきます。いたたたたた…と伸ばしていくうちに、そのうちぽんっと最後まで伸びて、いったん伸びてしまえば、何事もなかったかのように元通り。人間、いざというピンチになったときは、どうすればいいか、からだが勝手に動いてくれるものです。一時期は、そんなことが数ヶ月に一回くらいあったのですが、最近は、いろんな運動を始めたのもあってか、この症状が出なくなりました。

ぼくは寝ているときに負傷することが多く(この他にも、足を打撲したり、肩を痛めたり、アゴが外れたり、噛みしめて歯痛が始まったり…)、油断なりません。といっても、寝ているときにどうやって気をつけたらいいものか、どうやったら油断しないでいられるのか、わからないのが困ったものです。

・・・

からだの話って、人それぞれ、いろんなエピソードが尽きず、自分もいつそんなことになるかわからない、というのもあって、聞くのも面白いものです。

それにしても、この本には42種類の症状がでてきますが、その全部で面白い話を語れる五味太郎さんに脱帽です。


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by 硲 允(about me)