「おしゃべりしていればだいじょうぶ」(五味太郎)を読むとおしゃべりしたくなる

ちょっと弱っていた日々に、絵本作家の五味太郎さんの本を立て続けに読みました。

おしゃべりしていればだいじょうぶ」という本も面白かった。



五味太郎さんのエッセイ本は、タイトルからしてどれも面白い。おしゃべりしていればどう大丈夫なのだろう??と中身が気になります。

ぼくはあまりおしゃべりしないほうだけど、誰とでももっと楽しくおしゃべりできるようになれたらいいなぁとは思う。あまりおしゃべりしていないぼくは大丈夫だろうか…?

この本は、読んでみると、五味太郎さんがおしゃべりするように書いた本でした。テーマはいろいろ。あえてまとまりのない本をつくろうとしたとのこと。それがまた、おしゃべりっぽい。五味太郎さんのおしゃべりはこんな感じなんだろうなぁ…息づかい、というか、声が聞こえてきそうな文章。自由なおしゃべり文章。

もともとは、クレヨンハウスの雑誌「クーヨン」の表紙に描かれてきたイラストをひとつにまとめて本にしよう、という話から始まったそうです。その72枚のイラストのほか、たっぷりの描き下ろしのイラストが載っています。

最後のほうの25ページ分は、いろんな人物のイラストがあって、吹き出しが空白。読者がセリフを自由に書いて、イラストの人物におしゃべりさせることができるようになっています。

いやいや、ぼくがあんまり勝手におしゃべりしすぎたキライがあるので、みなさんにも少しおしゃべりさせてあげようかな、なんて考えたわけです。サーヴィスです。

とのこと。

雑誌の表紙のイラストを一冊にまとめる話から発展してこんな本になるとは驚きです。

おしゃべりイラストの前の最後の項目は、「極意」。五味太郎さん流のおしゃべりの極意が語られています。「おしゃべりの基本はあまり考えないことな」とのこと。たしかに、考えすぎると言葉が出てきにくくなって、おしゃべりが盛り上がりません。

おしゃべりはただおしゃべりしているのがいいの。おしゃべりすると頭の回転がよくなっていいんですよ、なんて言ってちゃいけないの。頭なんてエンジンじゃないんだから回転なんてよくなくていいの。悪い頭は回転がよくなったって悪い頭がたくさん回転するだけなんだからそんなことやめたほうがいいの。(p. 284-285)
という調子で、面白すぎです。

凝り固まった頭をほぐして遊び心を取り戻し、おしゃべりしたくなる本でした。




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by 硲 允(about me)