柴田祥 写真集『津軽再考』(道音舎)発売。写真タイトルの翻訳を担当させていただきました


津軽の写真家、柴田祥さんの写真集『津軽再考』(Reflections on Tsugaru)が発売されました。写真のタイトルなどの英訳をぼくが担当させていただき、見本が届きました。

ぼくの写真では感じが伝わらないので、出版レーベルの道音舎さんの投稿から。



ずっしりと、気軽には触れられない重鎮の存在感のある本です。

この写真集ができるまでに、どんな過程や試行錯誤を経てきたのか、道音舎blogの記事を興味深く読みました。

ここまで気合の入った本の翻訳は、こちらも気合を入れないわけにはいきません。

タイトルの翻訳は、ずいぶん頭を悩まされます。直訳では伝わらなかったり、日本的な言葉をどうするか、とか。意味は伝わってもダサいともちろんNG、とか。写真の説明を文章でいただけたのでだいぶ助かりましたが、写真を正確に読み取ることも必要です(以前の仕事で、そういう写真じゃないんやけど…とつっこまれたことも…)。写真を見て、けっこう意訳することもあります。「先行き」を「on the horizon」としたり。「はだけ」というタイトルを見て、ピンとくる方は一瞬でわかると思うのですが、りんごの果樹園の写真を数分眺めて、ようやく「畑」だと気づいたときは、何でわからんかったんやろうと、ちょっと苦笑したり。果樹の畑というのがぼくには馴染みがなくて、すぐに出てこなかったんだと思います。

タイトルを訳しながら津軽の写真を何時間も眺めて、雪国は大変やなぁと、しみじみ思いました。「音なき支配者」(silent ruler)というタイトルの写真があります。音なき支配者というのは、雪のことです。この実感は、体験したことのないぼくにも写真を見ながらこわいくらい伝わってきました。「負に覆われる」(covered with negatives)とか、和歌山育ちのぼくにはとても耐えられそうにありません…。香川ですら、冬になると、寒くて生き延びるだけでOKとしよう、という気分になりますが、そんな比ではない場所の冬のすさまじさに圧倒されました。そんな雪に埋もれた中での人々の暮らしは、興味深くもあります。「パレード」(parade)というタイトルの写真があって、おそらく田んぼが何枚も並ぶ景色の中に軽トラが何台も並んでいます。ぼくはこの写真に一番親近感を覚えました。

詳しくは、『津軽再考』の特設サイトをご覧ください。

近々、写真展も東京で開催されるそうです。

柴田 祥 写真展 / 津軽再考(再構)
会  期 2019年6月14日[金]-23日[日] / 19日[水] 休廊
入場無料 open 11:00-19:00
会  場 Island Gallery
東京都中央区京橋1-5-5 B1
phone / 03-3517-2125
協  賛 マルマン株式会社 Canson Infinity
トークライブ&サイン会
6月15日(土) 17:00Start
参加自由 ご予約不要
作家在廊日
15日(土)・16日(日)・22日(土)・23日(日)



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