田舎暮らしは忙しい?でも、「心を亡くす」ことはなさそう


「田舎暮らし」というと、「のんびり」「ゆったり」「悠々自適」「スローライフ」といったイメージと結び付けられることもよくありますが、なかなかいそがしいものです。

特に春から夏にかけては、敷地や田畑、通路の草刈り、野菜の種まき、苗づくり、水やりだけでも、日々、けっこうな時間を使います。

最近は、朝起きると、野菜の苗の様子を見て、朝食後に水やり。苗の手入れをしたり、大きくなった苗を畑に植えにいったり、草刈りをしているとあっという間にお昼。

冬は畑仕事がお休みなので、時間ができて料理に凝っていましたが、種まきの季節になると、料理にかける時間がないことがわかり、凝った料理は冬の楽しみとすることにしました。

料理以外の家事にもけっこう時間を使います。うちでは洗濯機を使っていないので、洗濯も手洗い。時間はかかりますが、手洗いのほうが気持ちがいいので、続いています。

掃除は毎朝、茶葉をフローリングにばらまいて、箒でゴミを掃き出します。その後、運動(ヨガやストレッチなど)。

歯医者に通い始めてから、歯磨きが丁寧になったので、毎食後30分ほど(夜はもっと)。

ぬか床も始めたので、毎日まぜまぜ。冬は1日に1回でよかったのですが、あったかくなると1日2回は必要で、寝る前にふらふらになりながら混ぜていることも…。

日々のルーチンだけでも、多くの時間が充てられています。

そう考えると、残された時間でできることは限られてるなぁ、と思えてくるのですが、そんな計算をしはじめると気持ちがせせこましくなってくるので、なるべくうまくやりくりしつつ、日々、したいことをするのみです。

いそがしいは「忙しい」、心を亡くす、と書きますが、でも、田舎暮らしのいそがしさでは、今のところ心を亡くすこと幸い無さそうです。いそがしいといっても、畑仕事をしているときは、頭と気持ちだけ焦っても作業が捗るわけではないので頭と気持ちはなるべくゆったりさせているし、都会のビジネスのように、自分の気持ちにフタをしながら仕事をせっせと進めていかないといけないような場面もありません。野菜づくりに失敗したところで、それで生計を立てているわけではないので、仕事を失うことも家を失うこともありません。誰かの命令に従って、誰かに決められた期日に追われることもありません。そういう意味では、余裕のあるいそがしさです。いざとなれば、放棄したって構わない。でも、自分がしたいからしている、といういそがしさです。責任や決定権は自分にあり、するもしないも自分の自由、そういういそがしさなら、心を亡くすことはなさそうです。


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by 硲 允(about me)