親に子どもの頃の写真などをネットに投稿された子どもが大人になってどう思うか。

「他人が自分と同じように考えるとは限らない(そんなわけがない)」わけで、それを許容する、というか、それが当たり前なんだと思っているのが、世の中の平和のために案外重要なのだろうと思います。

自分から他人、他人から自分…ベクトルは両方あるわけで、他人と同じように考えない自分を肯定して(許容されて)生きるにも、他人の思考の自由を尊重する必要があります。

先日、シェアレンティング(sharenting)について記事を書きましたが、自分の子どもの頃の写真をネットに投稿されてどう思うかは、人それぞれです。「許せない!」と思う人もいれば、「別にいいんじゃない~」という人もいます。

この記事の中で紹介した記事を読んでも、親に裏切られた気持ちになったり怒りを感じたりする人もいれば、別にいいんじゃない~という人も出てきます。

シェアレンティング(sharenting)のケースの場合、自分が「許せない!」タイプの場合、子どもの写真を気軽にネットに載せまくる親は少ないかもしれません。「別にいいじゃない」タイプの親が気軽に載せることの方が多いでしょう。

ところが、親が「別にいいじゃない」タイプであっても、子どももそうだとは限りません。セルフサーチをして自分の個人情報の流出を把握できる年齢になった子どもが「許せない!」タイプだった場合、問題が生じるわけです(「別にいいじゃない」タイプであっても、悪用されたり、他人によって問題が生じる場合もありますが)。

問題になった事例を読んでいると、自分の知らないところで自分の情報を世界中に晒されていたことを知った子どもの傷ついた気持ちがありありと伝わってきます。親は、それについて非難されたり対応を求められてムッとするそうです。

親は、子どもの頃の可愛い写真を載せて何がわるいの、と思うのでしょう。可愛いところしか載せてないのに、と思う親もいるでしょう。でも、イヤな人にとってはイヤなものです。実際、写真から名前や個人情報を突き止める技術もこれからますます向上してきて、何に使われるかわかりません。実際に何の問題も生じないとしても、自分の子どもの頃の写真がネット上にあるだけでイヤな人にはイヤなものです。

「自分はこう考えるから相手も同じようにこう考えるだろう」という以前に、そもそも相手の立場になって考えたこともない、という場合も多いのではないかと思います。「子どもの写真をネットに投稿するのは親の自由だ」と思っていても、自分がそうされたらどう感じるかをほとんど考えてみたこともない人も多いかもしれません。自分の子どもの頃の古いアルバムを親が押入れから引張り出してきて、SNSを始めてなんでも投稿するのが面白くなってきた親が、その写真をスマホで撮って全部公開し始めたらどう感じるでしょうか?はるか昔の子どもの頃の写真だから別にいいか、と思うでしょうか…?

親が子どもの写真をSNSに投稿していたせいで、親子関係がぎくしゃくしてしまった親子の事例を読み、そんなリスクをおかしてまで、子どもの個人情報をネット上に投稿するメリットがあるのだろうか、と思いました。今はよくても、子どもがもっと大きくなってからどういうことになるか、もっと具体的に想像してみることで、親子関係に余計なヒビを入らせずに済む場合があるかもしれません。


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by 硲 允(about me)