『脳と即興性―不確実性をいかに楽しむか』(山下洋輔、茂木健一郎 著)を読んで。

『脳と即興性―不確実性をいかに楽しむか』(山下洋輔、茂木健一郎 著)という本を読みました。




ジャズピアノを弾く山下洋輔さんと、脳科学を研究する茂木健一郎さんとの対談本です。「即興力」や「独創性」などをテーマに興味深い話が繰り広げられています。

茂木健一郎さんがデレク・パラヴィチーニというピアニストから聞いた話を紹介し、デレクさんは先生が弾いたピアノの音を聴いてそれを再現することで音楽を習得し、即興で演奏できるようになると、即興のためにレパートリーを増やしたいと思い、そのために音楽を勉強したいと思うようになったといいます。

茂木:山下さんが歩んでこられた道とまったく同じだなと思って。
山下:同じですね。
茂木:もっと自由に弾きたいから、過去の作曲家の音楽を知りたくなると。
山下:そう。今までどういう音楽があったのかを知りたくなる。この欲求は尽きないですね。勉強がまった苦にならないどころか、今度は喜びになるんです。
(『脳と即興性―不確実性をいかに楽しむか』(山下洋輔、茂木健一郎 著)p. 68)

勉強に対するこの順序は、何を勉強するにしても大事なことだと思いました。何に役立つかわからないのに誰かから言われて勉強しても面白くないし、苦になるだけで、興味もわかないのでなかなか身につかないものです。その反対に、もっと自由に音楽を奏でたい、といった目的があれば、勉強の意味(意義)がはっきりし、学ぶことが喜びになります。これは天と地ほどの違いだと思います。

「おもしろい」「おもしろがる」というテーマでも話がされていて、山下さんはこう語っています。
やはりぼくは、自分自身が一番おもしろがり屋なんですよ。だからピアノを弾くときだけではなく、とたえば文章を書いたりするときも、自分が読み返したときにおもしろいか、ということは常に考えます。
(『脳と即興性―不確実性をいかに楽しむか』(山下洋輔、茂木健一郎 著)p. 106-107)

ぼくもブログを書くときは、自分が楽しむことを常に心がけていますが、基本的に毎日更新することを自分のルールにしていると、あまり気持ちがのっていなくてもなんとかひねりだして書くようなときもあります…というときの記事は、自分でもやっとこさ書いた、という感じで、面白くかけたか自信が持てないときもありますが、「自分が読み返したときにおもしろいか」?ということをぼくも自分に問いかけるようにしたいと思いました。「面白がって書く」「楽しんで書く」ということも心がけてはいますが、これは指標としてはあまりはっきりしないものです…一方で、自分が読み返して面白いか?というのは、「Yes」「No」がよりはっきりしそうです。


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by 硲 允(about me)