「世界でいちばん貧しい大統領からきみへ」を読んで。

「世界でいちばん貧しい大統領からきみへ」(くさばよしみ 編、田口実千代 イラスト)という本を読みました。



ウルグアイの元大統領、ホセ・ムヒカさんのスピーチやインタビューなどを編集して、イラストとともに一冊にまとめた本です。

ぼくがまだ東京にいた頃、ムヒカさんのスピーチが世間で脚光を浴びる前でしたが、Facebookでたまたまムヒカさんのスピーチ動画がタイムラインに流れてきて、それを視聴してびっくりしたのを覚えています。こんな大統領が世界にいたとは…という驚きです。

とても勇気のわいてくる本でした。四度も投獄され、最後の投獄では13年も牢獄に閉じ込められていたそうです。自由のために本気で闘ってきた人間の力強さを感じさせられます。

わたしは、自分を貧しいとは思っていない。
いまあるもので満足しているだけなんだ。
わたしが質素でいるのは、自由でいたいからなんだ。
お金のかかる生活を維持するために働くより、
自由を楽しむ時間がほしいんだ。(p. 6)

これはまさに、東京でぼくが自由を求めて試行錯誤していた頃のテーマでした。暮らしを維持するためだけに、たいして意義を感じない仕事に時間を使いたくない…お金は必要最低限でいいから、自分の自由に過ごせる時間がほしいと思っていました。

そして、なるべくお金のかからない暮らしをするには、自分の身体を頭を動かして、できることは自分でして、できるものは自分でつくって、暮らしのための仕事が必要になってきます。料理をしたり、保存食をつくったり、畑を始めてみたり、歩いて移動したり…。それが実は楽しいことなのだと気づきました。「質素」というふうに見られるかもしれないけど、簡単にお金で解決せず、時間を手間暇をかけるところに心の豊かさがあることがわかってきました。

わたしたちはつい、人生の時間の使い方を間違えてしまう。
自由をどこかに置き忘れて、
自由が傷ついたことにすら気づかない。(p. 32)

「人生の時間の使い方」…これを時々、深く真剣に考えてみることが大事だと思います。死ぬときになって後悔したくないので…。


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by 硲 允(about me)