カブトエビ農法について。カブトエビが田んぼの除草をしてくれる!

ブロードキャスターでDJのピーター・バラカンさんの番組「The Lifestyle MUSEUM」(Tokyo fm)で、東京農業大学農学部教授の長島孝行さんのお話を聞きました(Podcastでも聴けます)。

長島さんは、昆虫の生態な能力をモノづくりに応用する「インセクト・テクノロジー」というものを研究・実践されているそうで、蚊の針を応用した痛くない注射針、タマムシの発色作用を応用して塗料を使わずに色を出す技術など、興味深くお話を聞きました。

田んぼのカブトエビが除草してくれるという話もあり、初耳で、いいことを教わりました。カブトエビは、水田で土を掘り起こしながら草の種や芽を食べ、土を掘り起こすことで水が濁って草の光合成を阻害する働きもするそうで、田んぼにカブトエビがいると雑草が生えにくくなるそうです。

ところが、1960年代に、農薬を使わないとダメだという「農薬神話」が生まれ、農薬や化学物質に弱いカブトエビの多くが姿を消してしまったそうで…。

下の記事でも、このことが紹介されています。

インセントテクノロジーを米作りに活かす(東京農業大学 農学部農学科 昆虫機能開発研究室 長島 孝行教授)(ドリコムアイ.net)


そういえば、ぼくが小学生の頃、通学路の田んぼでよくカブトエビを見かけました。ぼくは虫が苦手だったので、カブトエビは好きになれなかったのですが、虫好きの子どもたちは捕まえて水槽に入れていました。農薬を使っている田んぼではカブトエビは生きられないそうなので、あの田んぼは無農薬でお米を育てていたのかなぁ…それほど広くない田んぼで、自給用メインだったのかもしれません。

この頃は、ぼくの行動範囲での水田では、カブトエビをいっさい見かけなくなりました。たいていの田んぼでは除草剤や農薬を使用しているはずで、カブトエビが生きられる環境ではないのでしょう。

しかし、毎年農薬を使用しているからといって、その田んぼでカブトエビが全滅してしまっているとは限らないようで、福島県で震災後、農業をやめて農薬を使わなくなっていた田んぼに水を入れたところ、カブトエビが大量に発生したこともあるそうです。(「バイオミミクリーの可能性」JB group)。カブトエビの卵は、乾燥した状態だと何十年、何百年も仮死状態で眠っていて、水を得ると孵化するというすごい性質をもっているらしいです。

最近は、カモに田んぼの草を食べてもらう「合鴨農法」というのを見聞きすることが増えましたが、上のJP groupの記事によると、カモは満腹になると草を食べなくなったりお腹が減りすぎると稲を食べてしまったり、なかなか難しいところもあるようで、それに比べると、カブトエビは小さいので稲を食べることはないらしく、比較的簡単そうです。カモを飼って飛んでいかないように囲いをしたりするのは大変そうだし、合鴨農法で働いてもらったカモを自然界に放つのは難しいと何かで読んだことがあり、働いてもらったあとは、カモはお肉として食べられることが多いようで、ぼくはそれを知って自分には合鴨農法は無理だと思ったのですが、カブトエビ農法ならできそうです。

現在ではお米づくりで農薬を使うのが当たり前になってしまっていますが、ちょっと昔の人たちは、虫や動物たちの働きを借りながら、今よりよっぽどうまく共存していたのでしょう。


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by 硲 允(about me)