どんなモノに囲まれて暮らすか。


どういうモノに囲まれて暮らすか、というのはけっこう大事なことだと思う。

100均でナンデモ買えるからといって、百均グッズで身のまわりを埋め尽くしたらどういう気分になるか…。なかには、100均でよさげなものを見繕ってきて、色を塗ったり組み合わせたりしてインテリアに使うのが好きな方もいるようで、雑誌などで時々見かけるが、やっぱり百均は百均だという感じがする。とはいえ、人それぞれ。100均のものばかりでこんなに素敵っぽい空間がつくれた!という満足感が得られて、それを見ていい気分になれれば、その人にとってはいいのかもしれない。それにしても100均の商品を見ていると、その裏側では、安い賃金でわるい労働条件で働かされている人たちがいるように思えて、あまり好んで手に取ろうとは個人的には思えない。

つくり手のことがわかるモノには特に愛着を感じる。個展で買った器や衣類、誰かが手づくりしてくれた日用品など。親しい人が営んでいるお店でストーリーを聞いて買ったモノにも愛着を感じる。見たり使ったりしていると、そのときのことが思い出される。つくり手と直接のつながりはなくても、材料やつくり方への共感を覚えるモノにも愛着を感じる…オーガニックやフェアトレードに本気で取り組んでいるモノなど。それから、ヘタでも自分でがんばってつくったものにもそれなりの愛着を感じる。

かつてはテキトーに買ってきたモノに囲まれて暮らし、飽きたら手放す、というようなこともあったが、最初から愛着を感じるものを選べば、「飽きる」という現象が起こらないので、無駄にゴミを増やさなくて済し、一つひとつはヤスモノよりも値段が高くても、総合的に見れば経済的になるだろうと思う。「安物買いの銭失い」とは本当だとよく思う。

うちに遊びに来てくれた人が、うちにあるモノを気になって質問してくれていろいろ説明していると、家にあるもの全部にストーリーがあって話せるだねと驚かれることがあり、そう言われてみると、いつの間にかそんなふうになっていることを改めて知らされる。大したストーリーがないモノもあるわけだけど、なにかしらストーリーを語れるようなモノに囲まれていたほうが楽しい。

そういえば、学生の頃に英語塾で、A man is known by the company he keeps.(その人のことは付き合う人を見ればわかる)という諺を習った。A person is known by the things they keep(have). (その人のことは、持っているモノを見ればわかる)という表現が思い浮かんだ。


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by 硲 允(about me)