パーム油の裏側。FoE Japanの記事を読んで

「パーム油」というと、熱帯雨林を破壊しているイメージがあり、パーム油が使われている商品は買わないようにしている。

FoE Japanのブログ記事「アブラヤシ生産の現場では何が?ー現地調査報告」で、実際に現地に行って調査して見えてきた実態が書かれており、興味深く読んだ。

パーム油といって、商品ラベルを見ていないと何に使われているのか知らずに消費されることも多いと思うが、カップラーメンやチョコレート、ファストフードのような食品や、石鹸や化粧品などに使われていて、日本の植物油消費量において、菜種油に続く第2位とのこと。

そんなにたくさん使われているパーム油だが、原料となるアブラヤシは日本では栽培されず、主にマレーシアやインドネシアから輸入されているらしい。バイオマス発電の拡大により、今後、食品や生活用品に加え、発電用にさらに輸入が増えると見られる。

海を越えた遠くで栽培され、ほとんどの日本人が実物を見たこともないアブラヤシ…RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)などの認証を取得していても、現地ではいろんな問題が生じていることが、この記事で浮き彫りになっている。

パームヤシを栽培するための農園開発のために、現地の人々の生活は一変し、土を奪われたり、川が汚染されて魚が死に、生活用水として使えなくなったり、農業や漁業で以前のように生計を立てられなくなったりしているという。

現地で話を聞いた住民の一人はこう語っているという。
「アブラヤシ農園ができる前は、私たちの生活は豊かだった。農業で野菜を取り、森に肉を取りにいって川や湖に魚を取りにいった。なのに今はなにもできない。私たちにはなにもない。誰だって、どこにいたってみんな生きる権利がある。みんなだ。もう私たちは死んだも同然だ。」

畑や川や森や湖から自然の恵みを得て暮らしている人々にとって、それらが奪われたり汚染されたりすれば、「死んだも同然」という気持ちは大げさではないと思う。

バイオマス発電というと、「エコ」な印象を与えるかもしれないが、他国の電気のために死んだも同然の状態に追い込まれる人たちがいる、ということはあまり知られていない。


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by 硲 允(about me)