「冷蔵庫なし生活」5年目。食材を腐らせることが減りました。

酢飯にした玄米

香川に移住してから、冷蔵庫なし生活をしていて、今年(2018年)で5年目になる。

なるべく電気に頼らない暮らしをしようと思って試してみたところ、特に困ることはなかった。

魚は買ってくるときに氷をもらってきて、調理するまで家のクーラーボックスに入れておく。牛乳はなるべくすぐに飲んでしまう。卵は真夏でも常温で1週間くらいいけることがわかった(コープ自然派から届けてもらっている新鮮な卵の場合)。

真夏にご飯の保存はどうするかというと、朝一で土鍋で玄米を炊いて、朝・昼・晩で食べきれば常温保存で味が変わらない。一日で食べきれず、翌日に持ち越すときは、夜に酢を加えて酢飯にしておけば、常温で翌日の昼か夜まで美味しく食べられる(暑いときは酢飯も美味しい!)。酢飯はずっと置いておくと、だんだん酸っぱさが薄れて苦みで出てくることを経験して初めて知った。苦みが出てきてもお腹を壊すことはないけれど、あまり美味しくなくなってくるので、酸っぱいうちに食べるようにしている(酢飯をすぐに食べ切れなさそうなときは、酢を多めに入れると長持ちする)。

酢を入れるのを忘れても、玄米は腐ることなく発酵して独特の香りがしてくる。炊飯器で保温して発酵させた「酵素玄米」は美味しいけれど、土鍋で常温発酵させた玄米の香りはあまり食欲をそそるものではないので、チャーハンにしたり、味噌をつけると食べやすくなる。

冷蔵庫を使っていた頃は、冷蔵庫の奥に食材を入れたまま忘れて腐らせてしまうことがよくあったのだけど、冷蔵庫がないと、急ぐものからすぐに食べてしまい、ストックがなくなってから買うので、食材を腐らせることがかえって減った。

常温で保存していると食材が発酵することがよくある。味が変わったからといってすぐに捨ててしまうのはもったいないので、「賞味(消費)期限」に頼らずに自分の目と鼻と舌の感覚を頼りにいろいろ試してきた。その結果、発酵と腐敗の違いを見分ける感覚が養われた、というのも、冷蔵庫なし生活の恩恵。

昔は消費期限の過ぎた食材を簡単に捨ててしまっていたけれど、自家製天然酵母でパンを焼くようになった頃から発酵に親しみ始め、ラベルではなく自分の感覚を頼りにしはじめた。腐ったものには、鼻や舌が拒否反応を示してくれる。食べたらヤバいものを感覚的に察知する「野生の勘」が、「文明」に飼い慣らされてきたぼくでもまだ失われていないことを知ったときは安心した。
(最終更新日:2018年5月7日)

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