愛着の感じない物を買うと、すぐに飽きて、まだ使えるのに捨てるような結果になることがあります。
そういう反省から、大学生の頃、「安物買いの銭失い」はやめようと決意しました。買い物に行き、見つけた商品を買おうかどうか考えるたびに、「安物買いの銭失い」という言葉が浮かんできました。手に取ってみた商品…安いし欲しい気がするけど、本当にこの商品を気に入っているのか、と自分に問うと、「そうでもない」と思えることが多く、棚に戻しました。
それまでの経験から、無印良品の商品はデザインがシンプルで飽きがこず、まだ使えるのに捨てることがあまりないとわかっていたので、商品選びに迷ったら無印のものを選ぶようにしました。
某大手ファストファッションの商品は、1年くらいですぐに飽きて全く着なくなることがよくあります。いろんな色の商品を取り揃えているのに、気に入る色がほとんどなく、わざと飽きやすい色にしているのではないかと思えるくらいです。そういう商品はいくら安くても、買わないことにしました。
最近は、作り手のストーリーや顔がわかっている商品や手づくりのものを買うことが多くなりました。
そういうものには愛着があるので、使えるのに飽きて捨てる、というようなことがありません。
たとえば、4、5年前に東京の高尾で草木染めの服をつくっているBotanic Green(ボタニックグリーン)さんから直接買った藍染めのサルエルパンツ。履き心地がいいのでしょっちゅう履き、畑仕事でも使っていたので完全に色あせ、膝には穴が開いてしまいましたが、相方に当て布を縫い付けてもらって今も使い続けています。そのうち、自分で染め直そうと思っています。愛着のないズボンなら、ぼろぼろになると簡単に捨ててしまうところですが、思い入れがあるのでいつまでも使いたくなります。
思い入れのあるものに囲まれていると、気持ちがいいものです。いろんな方の顔やストーリーが浮かんできて、ものを丁寧に扱うようになります。昔はものをあまり大事にしなかったほうで、ものに八つ当たりして、「〜ちゃんがかわいそう。謝りなさい!」と、相方に怒られてものに謝らされたこともあります。今ではものを主人公にした小説(「庭の花」)すら書くようになり、人間、変われば変わるものです。