「飯つくるんで一日奪われるよ!」

近所のスーパーや大型ショッピングモールは、夕方に行くとたいてい食料売り場が混んでいてレジで待たされることになるので、なるべくその時間帯は避けている。

夕方にその日の夕食の食材を買いに来るお客さんが多いのだろう。毎食毎食、いろんな違った料理をつくることを想像してみたところ、「飯つくるんで一日奪われるよ!」と悲鳴を上げることとなった。

料理というと、かつては何か手のこんだことをするという思い込みがあったり、カレーには玉ねぎと人参とジャガイモと…、お好み焼きは必ずキャベツと豚肉とモヤシと…というようにメニューごとに必ず定番の具材を揃えないと、という考えがあったりで、そうすると、つくるものを決めてから買い物に行く必要があった。

今は、基本的に、手元にある食材をエチュベ(水を加えず野菜の水分でじっくり蒸し焼きにする料理)にするだけ。お米はたいてい、朝に一日分炊いて、3食でちょうど食べ終わる。


エチュベの野菜を切るのは、5分くらいのもので、それを火にかけながら、ご飯を食べ始める。朝は炊きたてホカホカご飯だけど、昼と夜は冷ご飯。冬でも冷ご飯で充分美味しく、お米の風味がよくわかる。「冷ご飯」という言葉には、どうもひもじいイメージがありそうだが、おむすびは冷めたものでもひもじい感じがしないのに、不思議なものだと思う。

美味しい野菜の場合、いろいろこった味付けをするよりも、塩だけで食べたほうが素材の味を楽しめる。たまには違う料理もするけれど(特に冬は時間があるので、いろんな料理を試してみる)、結局、「エチュベが最高」ということになる。料理に時間があまりかからず、しかも文句なしに美味しいとなると、時間も労力もかかる料理をする気がなくなってくる…料理の腕も磨きたいと思っているのに、困ったことでもある。

白米だと、エチュベの他に味噌汁などもう一品欲しくなるが、玄米や分づき米の場合、エチュベ一品でお腹も心も満足し、それ以上食べると食べすぎになって体調をわるくする。

エチュベとご飯のみのメニューだと、食器はお椀一つとお箸だけで済む(エチュベは鋳物のフライパンから直接とって食べるのが美味しい)ので、洗い物もラクになる。

料理がこんなに簡単で済んで、美味しいものが食べられると知っていたら、もっと昔から料理をしたかもしれないと思うことがある。ただし、シンプルな料理は食材が命で、農薬と化学肥料たっぷりの野菜ではそれほどの満足感は得られないかもしれない。


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by 硲 允(about me)