この道具、未だに日本で使っている人はどれくらいいるのでしょうか。
名前は、千歯扱き(せんばこき)といいます(千把扱きとも書きます)。
うちの田んぼで育てた稲を手作業で脱穀するために、昨年、ヤフーオークションで落札しました(木製のふるい付きで2,500円)。
去年は結局使わなかったのですが、先日、初めて使ってみました。
田んぼではざ掛けしていた稲を一部、一輪車で庭へ運んで、実験的に少しだけ。
本来は、これに土台が付いていて、足で土台を抑えながら稲を引っ張るのですが、土台がないので左手で支えながら。昔も、この本体だけで販売され、土台は各家庭で作っていたそうです。
歯の中に稲の束を押し当てて手前に引っ張る。籾が全部ばらばらになって落ちるまでこれを繰り返します。予想以上のスピードで進みました。
こんな感じでちゃんと脱穀できています。
籾が1粒1粒にばらけないまま穂先だけ落ちることが時々あるので、それは一つずつ歯に通すか手でほぐします。
今まではザルとボウルを使ってもっと時間のかかる方法で脱穀していたので、かなりスピードアップ!
「これで喜べるっていいわなぁ」と相方が笑っていました。
今まではザルとボウルを使ってもっと時間のかかる方法で脱穀していたので、かなりスピードアップ!
「これで喜べるっていいわなぁ」と相方が笑っていました。
なかなかあやしい光景です。
ちなみに、千歯扱きは江戸時代に発明された道具で、それまでは、手に持った扱箸(こきばし)という箸の形をした道具で穂を挟んで籾をしごき取っていたらしい。束のまま一気に脱穀できる千歯扱きが発明されたことで、脱穀の能率が上がりましたが、その一方で、扱箸による脱穀は村落における未亡人の貴重な収入源だったため、千歯扱きはこの労働機会を奪うことになったようです。だから、千歯扱きは「後家倒し」とも呼ばれたそうです。技術が進歩すると、便利になる一方で、それで困る人もでてくるというのは、いつの時代も同じですね…。
千歯扱きで脱穀したあとは、わらを除けて籾だけにする必要があります。大きなわらは手で除き、細かいクズや粉はうちわで扇いでみましたが、これが時間のかかる作業です。
千歯扱きの次に、明治時代末期に開発された足踏式脱穀機を持っている方に使わせていただけることになったので、残りはそれで脱穀する予定です。
手動の機械というのは今の時代でも求めている人が一定数いるようで、新しいタイプの足踏み式脱穀機や唐箕も販売されています。そのうち購入する予定です。