マクロビをしている人にいわせると、豆腐は体を冷やすらしいですが、美味しい豆腐が食べられるとなると、そんなことも言ってられません。香川県の海辺の町、宇多津には「くぼさんのとうふ」という国産大豆100%の美味しい豆腐屋さんがあります。
くぼさんが豆腐の材料にこだわるようになったきっかけは、「奇形猿」だったそうです。
25歳のこときにくぼさんが父親の跡を継いで豆腐業に入られた当時は、アメリカ産の大豆を100%使用し、にがりは中国産で、消泡剤を使用、油揚の生地作りには膨張剤を添加するなど、いかに効率よく低コストで作るかを第一に考えていたとのこと。
ところが・・・
30歳の頃に、知り合いから淡路島モンキーセンターでの奇形猿の写真を見せられ、話を聞いた時のショックは今も忘れられません。モンキーセンターには、中橋さんという奇形猿の生態を長い間記録している方がいて、くぼさんが話を聞かれたときも、昔よりも減ったけれどまだ1割程度の奇形猿が生まれているということだったそうです。これは人類に対する警告で、人間に近くて同じ食べ物を食べている日本猿の出来事を人間に置き換えると、2~3世代後に人間にも出る兆候だというお話にもショックを受けられたとのこと。おそろしい話ですね・・・。
奇形の主な原因が、飼料のアメリカ産大豆の農薬にあるということ、当時のポストハーベスト農薬は野放し状態らしく、かなり残留性が高く、死んだ猿の解剖結果では体内から有機塩素系農薬が出たと聞いています。昭和45年頃には約5割の確率で奇形猿が生まれたそうです。奇形の特徴は四肢に異変が起き、ひどい時には手足の無いダルマ状態だったと…。
くぼさんのとうふ・くぼさんのコラムより
その頃、私にも長女が生まれていましたので、何か身近なものからということで、豆腐の原料を国産大豆に切り替えていくことにしたのです。その後、油揚加工品に使用する食油も全て(安全性の高い)圧搾法の油にして、卵とうふの卵・合わせるだし・醤油・みりん・酒・塩・酢などの調味料も無添加のものに随時変更していかれたそうです。
それから間もなくして、高知県で当時一人で天日塩作りをしていた生命と塩の会(現土佐のあまみ屋)の代表小島正明さんを知人から紹介してもらい、天然のにがりで豆腐を作るようになりました。
また、消泡剤を使わなくなったのもこの頃でしたが、煮沸中に泡が吹いたり火傷をしたりと、なかなかうまくいかず困っていました。
すると、ある方から「豆腐は伝統食品なので、歴史を調べたら」とアドバイスして頂きまして、50~60年前ごろまで使われていた“米糠で泡を抑えながら炊き上げる製法”を再現することができました。
昔の作り方を再現しながら感じたことは、戦後あらゆる食品が効率の名のもとに何か大切なものを失ったということです。
豆腐に限らず、いつの頃からか、どこで買っても同じ味という味の画一化がすすみ、同時に化学合成添加物が多く使用されるようになりました。
私が若いお母さん方にお願いしたいのは、食べ物はイメージでは買わないこと、表示をよく見て判断してほしいということです。例えば表示を見て、不自然な着色や着香の物は買わないとか、保存料入りのものは買わないとか自分独自の購買基準を持つこともひとつの方法だと思います。
しかし、近年は原材料表示のごまかし等もあり、誠実な表示をしているメーカーを見分けるのが大変になってきているのも確かです。
これまでの食品業界での大きな事件や一連の偽装等は全てメーカーの都合、売る側の都合で起こっています。
そんななか、食べる人の健康や安全性を大事にしている「くぼさんのとうふ」はありがたい存在です。前回訪れたときは、大豆の放射能測定の結果も開示し、お店のよく目につくところに資料を置いてくれていました。
店内にはカフェスペースもあります。
いろんな豆腐が並んでいて、どれにしようか迷います。商品のラインナップはこちら。
飲み物や加工品、調味料、洗剤や歯磨き粉などの日用生活品もよりすぐりのものを置いていて、豆腐以外にも必要なものがいろいろ揃います。
この日買ったのは・・・
おからは一袋目は無料です。味噌味のお鍋に半分入れると豆乳なべのようになり、翌日にもう半分入れるとシチューのようになりました。
ざる豆腐はさらしで包まれています。
電話やFAXで注文できる通信販売もされています。
ウェブサイトで紹介されている「おとうふ料理レシピ」も参考になります!
この記事でも引用させていただきましたが、「くぼさんのコラム」も面白く、勉強になります。
●お店の情報
くぼさんのとうふ
営業時間 10:00~18:30(日曜定休)
電話 0877-49-5580
FAX 0877-49-6336
アクセス 香川県綾歌郡宇多津町浜三番丁25-19
JR宇多津駅より徒歩約10分(四国健康村の南向い)
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