光合成細菌で放射能除染する「ササケンプロジェクト」。ヘドロのセシウムを90%除去

放射能除染技術というのは、広まっていないだけで、実は効果的な方法がいろいろあるようです。

広島国際学院大学の佐々木健教授による「ササケンプロジェクト」もその一つです。

これは、バイオ技術を活用した方法で、光合成細菌を使って泥の中の放射性セシウムを回収するというものです。

光合成細菌の表面には、放射性物質を磁石のように引き寄せる性質があり、プラス電気のセシウムを吸着するそうです。光合成細菌の重金属イオン吸着能力は高く、1トンの水に含まれるCs(セシウム)、Sr(ストロンチウム)を速やかに吸着・除去することが確認されたとのこと。

放射能汚染された現地において、常温で除去作業が可能で、汚染された土壌にも使える技術らしいです。ビーズ状にした光合成細菌は、使用後に1/100以下まで容積を減らし、焼却時に放射性物質を拡散せず、中間保管場所が少なくて済むといいます。

2012年9月に、福島市内で採取したヘドロでの実験では、セシウムを約90%除染することに成功しています。

2013年5月には、福島県南相馬で光合成細菌ビーズを用いた本格的な土壌除染を実施。ビーズをつけて通気するだけで、10日で約70%の土壌放射能除染が可能とのことです。 しかも、植物に移行すべき放射性セシウムはすべて光合成細菌に移行し、野菜にはまったく移行しないと推定され、農地として使えるようになると考えられています。

1m×1mあたり10万円程度のコストで水、ヘドロ、土壌の除染が可能なクリーナーが近いうちに販売される予定だそうです。

こんな技術があったとは! どんどん活用が広まってほしいものです。

詳しいことは、こちらの研究論文(「光合成細菌成分による放射性核種の除去と海水の浄化」)に書かれています(追記:前はネット上で公開されていたのですが、いつの間にかリンクが切れていました)。

佐々木教授によるこんな本(「光合成細菌 採る・増やす・とことん使う」)もありました。そのうち読んでみたいと思っています。




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