都会から田舎へ移住したい人が増えてきているようですが、そのときに課題となることの一つは、仕事をどうするのか、ということです。
ぼくは幸い、収入の大部分を占める翻訳の仕事はインターネット環境さえあればどこでもできるので、そういう不安はなかったのですが、場所の制限を受ける仕事をしていたり、移住するには今の仕事を辞める必要がある人たちにとっては、大きな問題です。
家族を養っていけるだけの収入を最初から得るには、それなりの月給がもらえるところで働く必要があるかもしれませんが、独り身で、とりあえず暮らしていけるだけの収入を得るには、とにかく気に入った場所に飛び込んでしまえば、後は何とかなるように思います。香川に来てから、何人もそういう移住者に会ってきました。
例えばどういう仕事があるかというと…
- 飲食店、宿泊施設などの仕事
- 農家の手伝い(桑の実の収穫など)
- 古民家の改修
- 地元のマーケットやイベントでの物品販売(コーヒーやお菓子、アクセサリーなど
- こだわりのお弁当の配達販売
などです。
ぼくは4年ほど前から、いつか小説を書きたいと思っていました。東京にいた頃はまともな作品が一つも完成しませんでしたが、香川に移住して1年目に、ようやく「庭の花」という短編集をつくることができました。自由に過ごせる時間に余裕が生まれたほかに、同じ長さの時間でも流れ方がゆっくりで、毎日のように田畑に出て大地や草花とふれ合い、精神的にも豊かな時間を過ごせたのがよかったのだと思います。ちなみにこの本は、東京と香川での日常をもとにした、物や植物が主人公の物語集です。
今いる場所は窮屈だ。他人のためではなく、自分のために生きていきたい。自分が本当にやりたいことを始めたい。そのための舞台は、今いる場所ではなく、他の場所にあるはずだ。そういう方は、思い切って行動に移してみれば、思いのほか簡単に、あるいはラクなことばかりではないかもしれませんが、きっともっと自由で新しい世界がひらけてきます。
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by 硲 允(about me)
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