東京オリンピックで地域のオーガニック化を目指す取り組み。アスリートに安全な食材を

ぼくは昔からオリンピックにはほとんど興味がなく、東京の放射能が心配で香川に移住してきたので、東京でオリンピックをするなんてとんでもないという感じですが、東京オリンピックに関して、これはいいなぁと思う試みを知ったのでご紹介します。

オリンピック&パラリンピックの選手村とキャンプ地をオーガニックにしよう!」という運動です。

オーガニックヴィレッジジャパン(OVJ)によるもので、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向け、事前キャンプ地に立候補する市町村のためのオーガニック化推進をサポートするというものです。

ウェブサイトから抜粋します。

東京オリンピック・パラリンピックというスポーツ文化の世界的イベントは、日本の存在価値を世界中に発信する最大の場です。そのなかで世界中のトップアスリートたちが安心、安全、快適に日本を体験してもらうことは、今後の国際社会の中での日本の価値を発信する上で、非常に重要です。
なかでも国内各地で過ごすキャンプ地滞在は心身を調整する大切な場であり期間となります。キャンプ地は選手たちを、安全な地元の食材でおもてなし、そして衣食住を快適に過ごせるようにホスピタリティを高めることが要求されます。それをサポートするためにOVJはキャンプ候補地のオーガニック化を推進し、そのホスピタリティを向上させます。

ここに書かれている通り、主催国として、世界中から来られるアスリートたちの安全に対して責任があります。

選手が競技する場所、滞在する場所などの放射線量を丁寧に測り、ホットスポットがあれば除染しなくてはなりません。食べ物の放射能についても対策をし、安全な食べ物を提供する責任があります。

ぼくは短期の旅行のときですら、旅先でどうやって安全な食事を摂るか、前もって計画を立てています。何を食べるかによって、旅行中の体調がまったく違ってきます。

記録に挑戦する選手たちなら、なおさらです。放射能や農薬や化学肥料で汚染されていないオーガニックの食事を提供することは、非常に望ましいことだと思います。

このキャンペーンでは、具体的に次のような取り組みを予定しているそうです。
  • 地元のオーガニックの生産体制の構築と教育支援
  • 市場が成長するためのインフラ構築
  • 「アスリートが伝える食の大切さ」をテーマに、地域の子どもたちへの食育活動支援をアスリートたちと推進
キャンプ地を誘致した各地域に「オーガニック」が定着することで、持続可能な地域再生となり、新たな地域ブランドを確立することも視野に入れているようです。

ちなみに香川では、同じ四国の高知、愛媛、徳島に比べて「オーガニック」への動きが遅れているように感じています。小さな県でひとの目が気になりやすいからか、実際にはオーガニックのものでも「オーガニック」を謳いずらいところがあるのではないかと推測しています。近所の産直でも、「無農薬」を一時は謳っていたのにいつのまにかその表記を外しているようなこともありました。

今後、オーガニックへの動きは、世界的にどんどん加速していくでしょう。隣りの目を気にしたり、旧態依然のやり方に囚われていては、取り残されてしまいます。

オリンピックの「オーガニック」化運動のことは、自然派コープのちらしに掲載されている、阿波有機 佐伯昌昭さんのコラムで知ったのですが、そのコラムで紹介されている、日本農業新聞の記事(「有機栽培が急増 日本へ輸出を狙う カナダ」)によると、カナダでは有機農産物を栽培する農家が増えていて、2011年には2001年に比べて7割増加の3,700戸、2014年の生産高は過去8年で4倍の40億ドルに増えたそうです(カナダ・オーガニック貿易協会調べ)。その背景には、遺伝子組み換え(GM)食本などに対する消費者の不安があるとされています。今年から日本とカナダの有機認証制度の同等性が認められたことで、日本への輸出を目指す動きも強まっているそうです。

最近はスーパーで見掛ける商品でも、オーガニックの原料を使ったものが増えてきていて、どうしてこんなに安いんだろうと思うと、たいてい外国の有機農産物です。外国からの有機農産物の輸入が増えれば、利益を上げるのに苦労している日本の有機農家はますます大変になるかもしれませんが、人々の食の安全性への関心が高まるにつれ、本物の農産物を見分ける目も肥えていくことでしょう。できることなら、近くで育った新鮮な農産物で、どんな肥料を使って(あるいは使わずに)どんな農法でどんな人が育てているのかわかっているものを買いたいものです。一概に「オーガニック」といっても、安全性の疑わしい有機肥料を使っていたり、「有機」表示のできる農薬というのもあります。本当に安全な食があふれる世界にするには、「オーガニック化」への流れとともに、「本物のオーガニック」を追求する動きが肝心です。そのためには、一人ひとりが知識を得て本物を見抜き、本物の農産物だけを購入していくことが大事だと思います。


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by 硲 允(about me)
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