他人の好意を断るということ

誰かが好意でしてくれることや差し出してくれるものを断るというのは、なかなか勇気のいることです。

昨夜見た夢。

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暗い屋外。マンションの敷地内の階段のあるところで、飲み会をしている。ぼくは若い男にビールをついだ。大手メーカーのビンビールだが、よくある銘柄ではなく、ちょっとこだわりのクラフトビール。これならこの男も原料を心配することなく飲めるだろうと思った。

自分も同じビールを飲む。甘い風味があってなかなか美味しい。その若い男は、ひとくち飲んで、もう要らないと言う。

ぼくはちょっと不快に感じた。しかし、自分も普段、同じようなことをしているのだと思った。何かを差し出して断られることよりも、何かを差し出されて断ることのほうが多い。自分が必要としないものを嫌々受け取るよりも断るほうが正直だ。無理して受け取ったところで、相手のためにも自分のためにもならないことのほうが多い。しかし、断られたほうは瞬間的にはちょっと気分をわるくするものだ。自分も今それを体験している。それでいいのだと思った。お互いさまだ。

男は3段上がったところの欄干の上で膝を組んで宙を眺めている。

ビールビンに手を伸ばし、ラベルに書かれた原材料を見ると、何々糖や、何々タンパク質、それに「栄養卵」などという意味不明な混ぜ物が入っていた。クラフトビールというので安心していたら、とんだ間違いだった。若い男の舌はたしかだった。称賛したいような気持ちになり、ビンを持って男の近くへ駆け寄った。

「よくわかったねぇ、ほら、こんなヘンなのがいっぱい入ってる」

男はラベルを見ようともしない。

「こんなビール、自分で買う? 自分で買わないようなものは、飲まないし食べない」

男はひとくち飲んで、このビールは自分では買わないと味で判断したようだ。自分で買わないようなものは他人に出されても断る、というポリシーを持った人には初めて出会った。上には上がいる。この男に対し、一種の敬意のような気持ちを感じた。

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そこで目が覚めました。

食べ物や飲み物に気をつけていると、人付き合いのなかでいろいろ面倒なこともあります・・・。

周りには理解してくださる方が多いので、特に苦労もないのですが、いろいろ気は遣っているようで、そんな話が夢にまで出てきました。

普段、断片的なわけのわからない夢を見ることが多く、これくらいストーリーのはっきりした夢は久しぶりで自分でも面白い内容だったので書いておきました。

この若い男くらいはっきりしているほうが、かえって付き合いやすいでしょうか? うーん、世間では疎んじられることのほうが多そうですね。自分を貫いていってもらいたいものです(夢の中の人物ですが・・・)。