勤務地に縛られず、自分の好きな場所で仕事をする人が増えてきているようですね。
先日、香川在住のプロブロガー、ヨスさんが、香川の「テリムクリ」というWEBサイト制作会社を紹介されていました。
「社員は全員が遠隔で働いています」香川県で新しい働き方を唱える牛尾さんにインタビュー | ヨッセンス
株式会社テリムクリはWEBサイト制作会社 ...
こちらの会社では、社員全員が遠隔で働いているそうで、香川にもそんな会社があったとは! という感じです。
ぼくも、メンバーが基本的に好きな場所で遠隔で仕事をしている「エコネットワークス(EcoNetworks)」という会社のチームに参加しています。
エコネットワークスでは、プロジェクトごとにチームを組み、基本的にはメールでやりとりし、要所要所でSkypeやグーグルハングアウトなどを使って音声でコミュニケーションをとります。自宅が近いメンバーは実際に会ってミーティングをすることもありますが、遠くに住んでいるメンバーとはめったに会えなかったり、何度も一緒に仕事をしているのに一度も会ったことがないメンバーがいたりします。
ぼくはオフィスに出勤して仕事をしていた時期もあるので、遠隔ワークだけになったときは、「何て自由なんだろう」とのびのびした気分になったものです。
仕事さえちゃんとしていれば、どこにいてもいい。平日に自宅やカフェなど、好きな場所にいられるのは、それだけで喜びでした。締め切りに間に合わせれば、気の向いたときに仕事をすればいいし、ずっと座っていて疲れたら近所の公園に散歩に出掛けたりもできる。
でも、そういう喜びというのは長続きしないものです。だんだんそれが当たり前になってきます。日常の暮らしと仕事が混ぜくちゃになります。パソコンで翻訳したりリサーチをしたり、という仕事が多いので、翻訳や調べものに疲れてくると、ついつい関係のないサイトやSNSに飛んでいき、なかなか仕事が進まないときもあります。
遠隔ワークでは、仕事中に他人からの視線がなくてその分自由に仕事しやすい一方で、だらけるのも自由なので、自分で自分を律する必要があります。
時間割をつくるのもいいかもしれません。仕事とそれ以外を切り替えるために、自分なりの何か儀式をするのもいいかもしれません。部屋がたくさんある家に住んでいるなら、仕事をするためだけの仕事部屋を作るのもいいかもしれません。ワンルームなら、仕事専用の机を用意するのも手です。仕事専用のパソコンを用意するとか、いろいろ方法は思い付きます。
そんなことしなくても簡単に気持ちが切り替えられる人はいいですが、それが上手くいかない人は工夫が必要です。遠隔ワークをしていると話すと、「そんなの絶対ムリ」と言われることがあります。家で仕事なんかできない、と。会社では仕事、家に帰ったらゆっくり、という暮らしに慣れていると、そう感じるのもわかります。ぼくはもうこの暮らしに慣れてしまったので、平日毎日出社するのはムリ、という体質になってしまいました。
翻訳の仕事というのは、遠隔ワークに向いていて、メールのやりとりだけで何の不自由もなく済んでしまうことがほとんどですが、複数のメンバーでリサーチをして資料をまとめていったり、微妙な情報のやりとりが必要なプロジェクトの場合、Skypeなどで口頭での打ち合わせが必要になってきます。
同じオフィス内で仕事をしていれば、話したい相手の様子を見に行って、「今大丈夫そうだな」と判断して話し掛けてちょっと確認する、ということがしやすいですが、遠隔ワークの場合、相手がどういう状況にあるのかわかりづらいので(オンライン上のカレンダーなどである程度、お互いの予定について共有できますが)、急にSkypeで話し掛けるのはためらわれますし、そういうことを繰り返しているとお互いに時間のロスが増えます。メールで相談する方法もありますが、ちょっとしたことをいちいちメールでやりとりしていると、これも結構な時間のロスになります。
だから、遠隔ワークの場合、なるべくプロジェクト開始時に、そのプロジェクトの目的や成果物のイメージ、進め方、それにかける時間などについて、よく話し合っておくことが重要です。同じオフィスで仕事をしていれば、ちょっと不安のあるチームメンバーの仕事の様子を途中で見に行って確認するのもやりやすいですが、相手が見えないところにいると、いざ完成して送られてきたものが、伝えたはずのものと全然違う、ということもあり得ます。
それから、遠隔ワークの一番の難しさは、感情のやりとりではないかとぼくは感じています。仕事相手の顔が見えず、声もあまり聞けず、メールのやりとりだけでは、相手がどういう気持ちでいるのか、わからなくなってくることがあります。メールで自分の感情を表現するのが得意だったり好きだったりする人と、そうでない人がいます。メールの文章では微妙なニュアンスが伝わりづらく、怒っているように読めたり、本当の感情を隠しているように読めたり、じれったいこともあります。
何かで腹を立てたりして、これはとてもメールやSkypeでは伝えられない、というときは、プロジェクトの途中にリアルで会う場を設定します。顔を向き合わせて、それでようやく話せることというのがあるものです。そうして正直に話し合えば、感情的な問題はたいてい解決されてきました。そうやってすぐに会える場所にお互いが住んでいればいいのですが、離れているとそうはいかず、腹を割って話し合えずに感情的にぎくしゃくしたまま、ということになってしまう難しさがあります。
遠隔ワークにはいいところも難しいところもありますが、これのおかげで、ぼくは今のような暮らしができています。好きなときに田畑へ行き、好きなときにパソコンに向かい、好きなときに誰かに会いにいく。時間や場所の自由さは、日々の暮らしの自由さを大きく左右します。ぼくはリアルな現場に出ていくのも好きですが、自分の時間と場所の自由は奪われたくないので、これから先も、今のような働き方を続けていくつもりです。
<関連書籍>
最近は書店でも遠隔ワーク、ノマドワークなどに関する本をいろいろ見掛けるようになりました。
ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと(本田直之)
ノマドワーカーという生き方(立花 岳志)
「どこでもオフィス」仕事術―効率・集中・アイデアを生む「ノマドワーキング」実践法(中谷 健一)
【関連記事】
by 硲 允(about me)
先日、香川在住のプロブロガー、ヨスさんが、香川の「テリムクリ」というWEBサイト制作会社を紹介されていました。
「社員は全員が遠隔で働いています」香川県で新しい働き方を唱える牛尾さんにインタビュー | ヨッセンス
株式会社テリムクリはWEBサイト制作会社 ...
こちらの会社では、社員全員が遠隔で働いているそうで、香川にもそんな会社があったとは! という感じです。
ぼくも、メンバーが基本的に好きな場所で遠隔で仕事をしている「エコネットワークス(EcoNetworks)」という会社のチームに参加しています。
エコネットワークスでは、プロジェクトごとにチームを組み、基本的にはメールでやりとりし、要所要所でSkypeやグーグルハングアウトなどを使って音声でコミュニケーションをとります。自宅が近いメンバーは実際に会ってミーティングをすることもありますが、遠くに住んでいるメンバーとはめったに会えなかったり、何度も一緒に仕事をしているのに一度も会ったことがないメンバーがいたりします。
遠隔ワークの喜び
ぼくはオフィスに出勤して仕事をしていた時期もあるので、遠隔ワークだけになったときは、「何て自由なんだろう」とのびのびした気分になったものです。
仕事さえちゃんとしていれば、どこにいてもいい。平日に自宅やカフェなど、好きな場所にいられるのは、それだけで喜びでした。締め切りに間に合わせれば、気の向いたときに仕事をすればいいし、ずっと座っていて疲れたら近所の公園に散歩に出掛けたりもできる。
自分を律する工夫が必要
でも、そういう喜びというのは長続きしないものです。だんだんそれが当たり前になってきます。日常の暮らしと仕事が混ぜくちゃになります。パソコンで翻訳したりリサーチをしたり、という仕事が多いので、翻訳や調べものに疲れてくると、ついつい関係のないサイトやSNSに飛んでいき、なかなか仕事が進まないときもあります。
遠隔ワークでは、仕事中に他人からの視線がなくてその分自由に仕事しやすい一方で、だらけるのも自由なので、自分で自分を律する必要があります。
時間割をつくるのもいいかもしれません。仕事とそれ以外を切り替えるために、自分なりの何か儀式をするのもいいかもしれません。部屋がたくさんある家に住んでいるなら、仕事をするためだけの仕事部屋を作るのもいいかもしれません。ワンルームなら、仕事専用の机を用意するのも手です。仕事専用のパソコンを用意するとか、いろいろ方法は思い付きます。
そんなことしなくても簡単に気持ちが切り替えられる人はいいですが、それが上手くいかない人は工夫が必要です。遠隔ワークをしていると話すと、「そんなの絶対ムリ」と言われることがあります。家で仕事なんかできない、と。会社では仕事、家に帰ったらゆっくり、という暮らしに慣れていると、そう感じるのもわかります。ぼくはもうこの暮らしに慣れてしまったので、平日毎日出社するのはムリ、という体質になってしまいました。
遠隔ワークの難しさ
翻訳の仕事というのは、遠隔ワークに向いていて、メールのやりとりだけで何の不自由もなく済んでしまうことがほとんどですが、複数のメンバーでリサーチをして資料をまとめていったり、微妙な情報のやりとりが必要なプロジェクトの場合、Skypeなどで口頭での打ち合わせが必要になってきます。
同じオフィス内で仕事をしていれば、話したい相手の様子を見に行って、「今大丈夫そうだな」と判断して話し掛けてちょっと確認する、ということがしやすいですが、遠隔ワークの場合、相手がどういう状況にあるのかわかりづらいので(オンライン上のカレンダーなどである程度、お互いの予定について共有できますが)、急にSkypeで話し掛けるのはためらわれますし、そういうことを繰り返しているとお互いに時間のロスが増えます。メールで相談する方法もありますが、ちょっとしたことをいちいちメールでやりとりしていると、これも結構な時間のロスになります。
だから、遠隔ワークの場合、なるべくプロジェクト開始時に、そのプロジェクトの目的や成果物のイメージ、進め方、それにかける時間などについて、よく話し合っておくことが重要です。同じオフィスで仕事をしていれば、ちょっと不安のあるチームメンバーの仕事の様子を途中で見に行って確認するのもやりやすいですが、相手が見えないところにいると、いざ完成して送られてきたものが、伝えたはずのものと全然違う、ということもあり得ます。
感情を伝え合うのが一番難しい
それから、遠隔ワークの一番の難しさは、感情のやりとりではないかとぼくは感じています。仕事相手の顔が見えず、声もあまり聞けず、メールのやりとりだけでは、相手がどういう気持ちでいるのか、わからなくなってくることがあります。メールで自分の感情を表現するのが得意だったり好きだったりする人と、そうでない人がいます。メールの文章では微妙なニュアンスが伝わりづらく、怒っているように読めたり、本当の感情を隠しているように読めたり、じれったいこともあります。
何かで腹を立てたりして、これはとてもメールやSkypeでは伝えられない、というときは、プロジェクトの途中にリアルで会う場を設定します。顔を向き合わせて、それでようやく話せることというのがあるものです。そうして正直に話し合えば、感情的な問題はたいてい解決されてきました。そうやってすぐに会える場所にお互いが住んでいればいいのですが、離れているとそうはいかず、腹を割って話し合えずに感情的にぎくしゃくしたまま、ということになってしまう難しさがあります。
自由なのはやっぱり遠隔ワーク
遠隔ワークにはいいところも難しいところもありますが、これのおかげで、ぼくは今のような暮らしができています。好きなときに田畑へ行き、好きなときにパソコンに向かい、好きなときに誰かに会いにいく。時間や場所の自由さは、日々の暮らしの自由さを大きく左右します。ぼくはリアルな現場に出ていくのも好きですが、自分の時間と場所の自由は奪われたくないので、これから先も、今のような働き方を続けていくつもりです。
<関連書籍>
最近は書店でも遠隔ワーク、ノマドワークなどに関する本をいろいろ見掛けるようになりました。
ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと(本田直之)
ノマドワーカーという生き方(立花 岳志)
「どこでもオフィス」仕事術―効率・集中・アイデアを生む「ノマドワーキング」実践法(中谷 健一)
【関連記事】
by 硲 允(about me)