熊野参詣の旅の疲れを癒す、野中の清水と樹齢800年の一方杉


中辺路で立寄りたい場所を探し、選んだのが野中の清水と、野中の一方杉のある継桜王子。




岩で囲まれた池から水が流れ出しています。一日に約50〜200トンも湧き出ているらしく、小さな水筒を差し出すと一瞬でいっぱいになりました。まろやかな水です。





古くから地元の住民たちの飲料水や生活用水として利用され、継桜王子の近くにあるため、熊野参詣の旅人たちの給水ポイントにもなっていたそうです。日本名水百選にも選ばれています。

野中の清水の真上に、「継桜(つぎざくら)王子社」があります。


一方杉と呼ばれる杉の巨木の間にある鳥居をくぐり、石段を上ると、社殿があります。

「継桜王子社」という名前は、根元のヒノキと桜を接ぎ木したといわれている銘木「秀衡桜(ひでひらざくら)」が社殿前にあったことから名付けられたそうです。今は継桜王子社から約100メートル東の道端に移植されています。

石段の上から鳥居を眺めるとこんな景色です。



一方杉は、すべての枝が南の那智山の方角を指しているご神木です。明治の神社合祀(明治初頭と末頃に、国家管理のために政府が推進した神社の整理合併策)で各王子社にあった古樹はほとんど伐採されてしまいましたが、南方熊楠の運動により、高原熊野神社の大楠と継桜王子の一方杉が残ったそうです。写真からは伝わりにくいですが、樹齢800年の重みは感動的でした。