森は誰でもやってくる人を用心深く迎え入れるけれど、長い時間をかけて、彼の意図や習慣や生き方を注意深く観察する。
「愛の空間」 (響きわたるシベリア杉 シリーズ3) (アナスタシア第3巻) (響きわたるシベリア杉シリーズ)(ウラジーミル・メグレ 著)という本に出てくる一節(ロシアのタイガの森に住むアナスタシアという女性の言葉)です。
今住んでいる家の近くには神社があり、今はその裏に小さな森が残されていますが、今やコンクリートの道路ができたその周辺一帯がかつては森だった写真を見たことがあります。
この家が建つ場所も、かつては森だったのでしょう。
2年前にこの家に引っ越してきたとき、ここは虫や動物たちの棲み家となっていました。猫の爪の引っ掻き傷があちこちにあるし、天井の上で何かが走り回っているし、ヘビやイタチ(テン?)やクモ、ヤモリ、ムカデ、羽アリ…いろんな虫が現れました。
アナスタシアの話によると、ぼくらの意図や習慣や生き方が、彼らに観察されていたのかもしれません。
ここで暮らす許しが出たのでしょうか。最近ではヘビやイタチが姿を現さなくなり、天井の上で走り回る音も聞こえなくなりました。羽アリも行列をなして家から出ていきました。ムカデは時々姿を現しますが、間違えて入ってきてしまったようで、「しまった…」という顔をしています。クモやヤモリは、家の中にいてくれると安心で、今も棲みついています。
庭の草花や木々にも、ぼくらは観察されていたのでしょう。最初、庭に大量のゴミが放置されていたのですが、ちょっとずつ片付けていくと、庭が喜んでいるように感じました。最初はこの場所の「客人」のような感じがしていたけれど、今では、出掛けたあと、家に戻ると妙に安心します。
アナスタシアによると、家の庭には、その家の住人に必要な植物が生えるそうです。去年の夏、ぼくはあせもに悩んでいました。庭にはたくさんのツユクサが育っていました。ツユクサは、天日乾燥させた葉や茎を布袋に入れてお風呂に入れると、あせもや湿疹にいいそうです(せっかく生えてくれていたのにあまり活用できませんでしたが…)。
だいぶ掃除しましたが、まだまだ庭にはゴミがあるし、家の中も片付いていません。植物や動物や虫たちに見られて恥ずかしくない生き方をしなければと思います。
アナスタシアの言葉を信じるにせよ信じないにせよ、そういうことがあるかもしれないと思っていると、丁寧に、やさしい気持ちで暮らせそうです。