人間、水を飲まないと生きていけませんが、毎日どういう水を飲んでいるか、よくわからずに過ごしている人が多いのではないかと思います(ぼくもそうですが)。
水道の蛇口をひねると飲める水が出てくる家が多く、それがどんな水なのか特に疑問を持たずに毎日飲んだり使ったりしているわけです。
「67億人の水 「争奪」から「持続可能」へ(橋本 淳司 著)」という本に、「急速ろ過」と「緩速ろ過」の話が出てきました。
自宅に届く水を浄化している浄水場が、どっちの方式を採用しているか、ご存知でしょうか?
ぼくはそもそも、どこの浄水場から水が来ているのかすら知らなかったのですが、調べてみると、香川県綾川町には高松市岡本町の「東部浄水場」から水が来ていて、香川の浄水場は、いずれも急速ろ過方式を採用しているようです。
「急速ろ過」、「緩速ろ過」という名前を見ると、速度が速い「急速ろ過」のほうが優れているように一見思えますが、この本を読んだところ、「緩速ろ過」のほうがいいように思いました。
「急速ろ過」は、薬品を使って水をきれいにする方法で、戦後、アメリカから導入された技術らしいです。急速ろ過方式は、緩速ろ過方式とは違って有機物やアンモニアを除去する能力がなく、塩素殺菌を行うそうです。また、マンガン、臭気、合成洗剤などは除去できないため、水の味がわるくなるとのこと。合成洗剤が除去できないというのはびっくりしました。急速ろ過の浄水場から提供された水には合成洗剤の成分が入っているということでしょうか!?
その一方で、緩速ろ過は、ろ過に用いる砂の層の表面に棲んでいる微生物の働きによって、水に含まれる汚れや雑菌を除去する方法らしいです。速いか、遅いか、の違いではなく、浄化の方法が全く異なります。微生物の力を借りるので、「生物浄化法」とも呼ばれるそうです。
「緩速ろ過」という名前が付けられていますが、微生物が活躍する層を水が通過する時間はわずか数秒で、瞬間的に浄化でき、実際には非常に効率のいい方法らしいです。
緩速ろ過の方が優れている点がいろいろあるらしく・・・
こう言われてみると、緩速ろ過法(生物浄化法)のほうがよさそうですが、今の日本では急速ろ過法が主流です。自治体の多くが緩速ろ過法の導入に否定的なのは、情報が不足しているか、緩速ろ過に切り替えることで儲けを失う業者に遠慮してのことだろう、とのこと。
著者の橋本淳司さんが理事を務めているNPO「地域水道支援センター」では、生物浄化法(緩速ろ過)についてアドバイスを行っていて、相談する自治体も増えているとのこと。
同NPO主催で、東京で時々「水の五感ワークショップ〜めぐる・めぐみの水カフェ」というのを開催されているようで、近かったら参加したいところです。
ちなみに、香川県では各浄水場や府中ダムの施設見学を随時受け付けているらしく、まずは自宅に届く水を浄水してくれている浄水場から、そのうち見学に訪れてみたいと思います。
水は身近なものでありながら知らないことだらけですが、この本では他にもいろんなことがわかりやすく書かれています。
67億人の水 「争奪」から「持続可能」へ(橋本 淳司 著)
【関連記事】
水道の蛇口をひねると飲める水が出てくる家が多く、それがどんな水なのか特に疑問を持たずに毎日飲んだり使ったりしているわけです。
「67億人の水 「争奪」から「持続可能」へ(橋本 淳司 著)」という本に、「急速ろ過」と「緩速ろ過」の話が出てきました。
自宅に届く水を浄化している浄水場が、どっちの方式を採用しているか、ご存知でしょうか?
ぼくはそもそも、どこの浄水場から水が来ているのかすら知らなかったのですが、調べてみると、香川県綾川町には高松市岡本町の「東部浄水場」から水が来ていて、香川の浄水場は、いずれも急速ろ過方式を採用しているようです。
「急速ろ過」、「緩速ろ過」という名前を見ると、速度が速い「急速ろ過」のほうが優れているように一見思えますが、この本を読んだところ、「緩速ろ過」のほうがいいように思いました。
「急速ろ過」は、薬品を使って水をきれいにする方法で、戦後、アメリカから導入された技術らしいです。急速ろ過方式は、緩速ろ過方式とは違って有機物やアンモニアを除去する能力がなく、塩素殺菌を行うそうです。また、マンガン、臭気、合成洗剤などは除去できないため、水の味がわるくなるとのこと。合成洗剤が除去できないというのはびっくりしました。急速ろ過の浄水場から提供された水には合成洗剤の成分が入っているということでしょうか!?
その一方で、緩速ろ過は、ろ過に用いる砂の層の表面に棲んでいる微生物の働きによって、水に含まれる汚れや雑菌を除去する方法らしいです。速いか、遅いか、の違いではなく、浄化の方法が全く異なります。微生物の力を借りるので、「生物浄化法」とも呼ばれるそうです。
「緩速ろ過」という名前が付けられていますが、微生物が活躍する層を水が通過する時間はわずか数秒で、瞬間的に浄化でき、実際には非常に効率のいい方法らしいです。
緩速ろ過の方が優れている点がいろいろあるらしく・・・
- 維持費がほとんどかからない(メンテナンスは腐った藻や砂ろ過槽にたまった汚泥を時々取り除く程度)
- 長持ちする(明治、大正、昭和初期に建設されたものが今でも現役で稼働している)
- 複雑な機器を操作する必要がない
こう言われてみると、緩速ろ過法(生物浄化法)のほうがよさそうですが、今の日本では急速ろ過法が主流です。自治体の多くが緩速ろ過法の導入に否定的なのは、情報が不足しているか、緩速ろ過に切り替えることで儲けを失う業者に遠慮してのことだろう、とのこと。
著者の橋本淳司さんが理事を務めているNPO「地域水道支援センター」では、生物浄化法(緩速ろ過)についてアドバイスを行っていて、相談する自治体も増えているとのこと。
同NPO主催で、東京で時々「水の五感ワークショップ〜めぐる・めぐみの水カフェ」というのを開催されているようで、近かったら参加したいところです。
ちなみに、香川県では各浄水場や府中ダムの施設見学を随時受け付けているらしく、まずは自宅に届く水を浄水してくれている浄水場から、そのうち見学に訪れてみたいと思います。
水は身近なものでありながら知らないことだらけですが、この本では他にもいろんなことがわかりやすく書かれています。
67億人の水 「争奪」から「持続可能」へ(橋本 淳司 著)
【関連記事】
- 水で発電できる「R水素」。手に入れたければ政治に関心を持って行動していくこと。
- 水と塩で発電できるランプ「Aqupa(アクパ)」を発見。水で動く「水電池」も。
- 「松の力」
- 生ゴミ処理機を使ったコンポストトイレ第2号、なかなか快適です。