学生の頃や、大学を出てまだ数年の頃、ぼくは仕事の「スキル」とか「能力」のことばかり考えていました。
アルバイトで務めていた会社でも、専門的なスキルを持ち、そのスキルを使うのが好きなのに、そのスキルを存分に使えない仕事に就いている人がいるのが不思議でならず、どうして転職しないんだろうと思うことがよくありました。
仕事を変えたほうが楽しくなるに違いないと思い、仲良くなった方(2人)には、それとなくきいてみたことがあります。立ち入った質問で、そんなことを聞かれることはほとんどないと思いますが、二人とも真剣に答えてくれました。
その理由はどういうことかというと、家族との時間や、職場の人間関係など、毎日の生活の全体的なことを考えると今はこの仕事が一番いいと思っている、とのことでした。ほかの仕事の情報を見ると、気持ちが揺れてしまうからそういう情報には触れないないようにしている、というお話もありました。
それを聞いて、そういうもんかなぁ〜、探したら他にいい仕事が見つかるかもしれないのになぁ、と、どうもすっきりしないところがありました。
最近は、頭の中が「スキル」ばかりでなくなったので、そういう考えもわかるようになりました。仕事を変えると、日々の時間の使い方や人間関係ががらっと変わるかもしれません。家庭や仕事のことをはじめ、今成り立っている微妙なバランスを壊して新しい環境に移行するのはリスクも伴います。
とはいえ、ぼくは自分の能力を十分に生かせないところに長く居続けるのは我慢できないほうなので、生活のいろんなリスクをおかしてでもすぐに飛び出してしまうほうです。
最近は、他人に対してあまり立ち入ったことをきかないようになってきましたが、当時を振り返って、よくあんな質問をして切り込んでいったなぁと、懐かしく思い出しました。