ドイツの脱原発に寄与した小説を書いたグードルン・パウゼヴァングさんのこと

高松の仏生山温泉に行くと、お風呂上がりに身体を冷ましながらロビーにあるAERAを読むのが最近は習慣になっています・・・AERAの2016年3月21日号に、ドイツの作家、グードルン・パウゼヴァングさんへのインタビューが載っていて、いいお話だったのでご紹介します。

ぼくはこの方に名前すら知らなかったのですが、有名な方のようで、1987年に刊行された原発事故をテーマにした『みえない雲』という小説は、ドイツやベルギーなどで学校教材として使われているそうです。

チェルノブイリ事故をきっかけに、ドイツで原発事故が起きたらどうなるか、という設定で書かれた本らしく、2006年には映画化にもなったらしい。



みえない雲 (グードルン・パウゼヴァング)




みえない雲 [DVD] グレゴール・シュニッツラー 監督


コミックにもなっていました。


コミック みえない雲 (アニケ・ハーゲ (イラスト), グードルン・パウゼヴァング (原著))


この小説はドイツでベストセラーになったらしく、パウゼヴァングさんは「2022年までに脱原発するというドイツの決定に寄与したと思う」と語っています。

チェルノブイリ原発事故という現実の事故をもとに、ドイツでの原発事故という架空の話を描かれたわけですが、架空の物語がもつ力というのはすごいなぁと改めて思いました。

パウゼヴァングさんは1928年にボヘミア(現在のチェコの西部・中部地方)で生まれ、子どもの頃、人々がナチス政権に熱狂したが戦後に真実を知ってショックを受けたのを目の当たりにしたことから、「人の意見に流されず、自分の頭で考えなければならない」と思ったそうです。

パウゼヴァングさんは、子ども向けの本を100冊以上書かれているそうで、子どもたちに自分の頭で考える人間に育ってほしいとの想いで書かれてこられたのだろうと想像します。

インタビューでこう話されていました。

現実の世の中はハッピーエンドばかりではない。子どもだからといって当たり障りのない話ばかりするのは、子どもを真剣にとらえていない証拠。

それから、この言葉も胸に響きました。

現状を受け入れるのではなく、理想とする世界を実現するため、一人ひとりが行動することが重要。

日本が原発の輸出を進めていることに対し、次世代のことを考えるべき、と話されていました。パウゼヴァングさんの本から日本人が学ぶべきことも多いのではないかと思いました。「みえない雲」、そのうち読んでみようと思います。