田んぼ2反分の草を手で刈った話

香川に移住して一年目は、化石燃料に頼らず機械なしでお米を野菜を育てようと決めていました。

使う道具は、のこぎり鎌とスコップと鍬だけ。

5畝(1反の半分で約500㎡)の田んぼをお借りしていて、4月頃から、田植えに向けて草を刈り始めました。鎌を持って田んぼにしゃがみこみ、遅々としたスピードで草を刈る姿を見た近所の農家さんからは、「無駄な抵抗! 無意味! 刈ったあとから草が生えてくる」と怒鳴られたこともありますが、ぼくは可能だと思い、来る日も来る日も草を刈りつづけました。

最初の頃の田んぼ

その農家さんの言う通り、半分刈った頃には最初に刈ったところの草がかなり伸びていて、田植えの前に全体を2回、つまり合計すると1反分の草を刈った計算になります。

草刈りの作業自体は好きなのですが、さすがにこれだけの広さを毎日毎日刈っていると、鎌を握っている手や肩に負担がかかり、朝、目覚めると手がしびれていて、草刈りを始めると肩のうしろの辺りに冷たいようなヘンな痛みが走り、しばらく休まざるを得ないときもありました。疲れた身体で田んぼに向かう姿を「ゾンビのようだった」と相方は振り返ります。

田植えのあとも、稲の列の間を歩いて稲以外の草を刈る必要があり(陸稲なので水を張っておらず、草を抜くのではなく鎌で根元から刈ります)、この作業も全体を2回行ったので、田植え前の草刈りを合わせて2反分の草を刈ったことになります。

全部手作業でお米を収穫できたときの喜びは大きかったですが、これを毎年繰り返していれば草刈りだけの人生になると気づき、2年目からは草刈り機を導入しました。

最近、鎌で草を刈りながら当時のことを思い出し、「よくあんなことしたなぁ」と思うことがあります。最初に決めたことだし、近所の農家さんたちから本当にできるのか注目されていたので、意地になっていたところもあります。もう1回やれと言われても無理ですが、あれで田舎暮らしに必要な体力がかなりついたように思います。

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米づくりはこの本を参考にしています。監修の川口由一さんは機械を使わずに全て手作業で米づくりをされているようです


自然農の米づくり(大植 久美 (著), 吉村 優男 (著), 川口 由一 (監修))