「ポジショントーク」とは何か? 安易な非難語は好きじゃない。

最近、ネット上で「ポジショントーク」という言葉をときどき目にして、どういう意味で言ってるんだろうとちょっと気になっていました。

調べてみると、もともとは金融用語なんですね。デジタル大辞泉では、一つ目の定義としてこう書かれています

1 株式市場や為替市場にポジションを持つ市場関係者が、自分の利益になるように相場を誘導するために、根拠の不確かな情報を流すこと。

それから2番目の定義として、一般的な文脈での定義も載っていました。

2 自分の立場に有利になるような発言。

なるほどー、ネットで見掛けるのは「2」の意味合いでしょう。誰かの発言を非難する文脈で使われています。「〜の主張も、結局はポジショントーク」などというように。

それにしても、このひと言で済ませるのは危険ですね。危険というか、簡単に他人に批判してエラくなったような気分になってしまう。もうちょっと説明してもらいたいところです。批判対象の人物が、どういうポジションにあって、どういう意図でそういう発言をしているからその主張が的を得ていないと考えるのか。

他人を批判した気になれる、こういうキャッチーな短い言葉というのは、他人を無闇に批判したい人間に安易に使われ、広まりやすいものです。「ポジショントーク」なんていう言葉を使ってひとことで他人を批判した気になっている人の言うことを鵜呑みにすべきではありません。

その一方で、実際に意図的に「ポジショントーク」をしている人も多いのでしょう。それを見抜く目も必要です。誰だって、何らかの「ポジション」に立っているともいえ、それなら、誰だって「ポジショントーク」をしているのだと言いたい人もいるかもしれませんが、それは定義の問題です。あの人の言うことは信用できるか信用できないか、要はそこです。その人のポジションを知った上で、結局、判断するのは自分自身です。